『ネルソンさん、あなたは人を殺しましたか?』当前の問をなぜしない

映画『ネルソンさんあなたはひとをころしましたか?』ポスター 映画館

なんて重苦しい作品だ、だけどこれが戦争の真実なんだろうな。あえて今の時代に、この作品を世に問うた塚本晋也監督に敬意を表したい。ものの言いにくい同調圧力が、だんだんつよくなるこの時代が、悲しい。

戦争に真摯に向きある

『ほかげ』もそうだが塚本監督の戦争映画は、観た後に残るものは、決して愉快ではない

当然だが、戦争という行為を冷静に見つめるとそうなる。

どこまで行っても殺人なんです。

たとえ防衛であっても、国家間の取り決めで殺人罪には問われないだけで

やっていることは、破壊と殺人という行為以外の何物でもない

個人がその行為を行った後で、その後の人生に影を落とすのは至極当然

戦争とはそういうもので

ただ不条理な世界が待ち受けているだけ。

最前線に立つのは、一人ひとりの兵隊

相手も同じく兵隊という人間、そして民間人

この現実をしかと見ておいたほうがいい。

最前線にたたされ帰還された兵士は、多くを語らない

その戦場で自分のした行為を 

どう自分の中で整理するのか

思い出さないようにするのか

あるいは、罪の意識にさいなまれるのか

正当化して自分に言い聞かせるのか

でも、人を殺した事実からは逃れられない

当たり前だけどその当たり前が忘れられた現代

この映画のもつ意味は、大きい。

エンターテイメントではないのだ。

ベトナム戦争を描いた作品には、名作と言われる作品群がある

『ディアハンター』『地獄の黙示録』

戦争のある一面を描いているが、どこかエンターテイメントよりはいなめない。

現代のドローンを使った地上戦とは違い。

ベトナム戦争を描いた作品は、ヘリコプターの音が象徴的だ。

鹿狩後のパーティーの場面を延々と見せた後に、いきなりベトナムの湿地帯を飛行するヘリの場面に驚いた。

プレイガールを載せて、兵士の慰問のステージに降りる場面。

精神を病んでベトナムに残り、ロシアン・ルーレットで命を落とす、クリストファー・ウォーケン

そんな、華やかな場面が『ネルソンさん』にはない

当然だけど、監督は戦争に真摯に向き合っているのだ。

ぜひ、見ておくべき作品だと

どこの誰の横やりか、上映館が縮小されたこと

海外での受賞が、報じられないことが、重ね重ねくやしい。

映画『ネルソンさん、あなたは人を殺しましたか?』公式サイト:https://nelsonsan.jp/

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