『人生は二度とない』邦題なんですが、いまさら言われなくたってわかってるよと言い返したくなります。このコロナの重苦しい時代を振り払いたいのはわかりますが、インドのお金持ちのボンボン達の贅沢な悩みに付き合っている時間はありません、ということで。
高度成長期の日本ならいざ知らず、今どきの映画としては
これ、正直な感想。
2011年インド制作ですから、かれこれ11年も前のお話。
インドが、世界経済の中で元気な時期の作品なんでしょうね、現在でも元気ですが。
主人公三人グループの独身最後のスペイン旅行、それも三ヶ月。
もうこの時点で、引いてしまうのですが。
三人ともインドでは、かなり上流に属する人たち。
なにせ、お金持ちも日本とは桁違いですから。
その金銭感覚も庶民からは、程遠い。
その三人組の一人が大富豪の娘と結婚。
結婚までの独身最後の旅を、悪友と楽しむという設定なのですが。
人生の峠を遠に越した身分としては、懐かしさよりなんというか共感もできないレベルの豪華さ。
コロナがやっと収まりかけている今を元気つけようという、配給会社のもくろみなんですが。
インド社会のホワイトカラーのお話ですから。
建設会社のドラ息子に、ロンドンの証券会社に務めるエリートサラリーマン、それに画家の隠し子。
いずれに共通するのは、お金持ち。
まあ、貧乏人のひがみなんですけどね。
かつて日本にも同じような映画が。
そう、言わずとしれた、加山雄三の若大将シリーズ。
1961年〜1971年まで、全17作。
東宝の大ヒットシリーズです。
大学生の主人公の青春物語。
それも、貧乏学生でなく、お金持ちのボンボン風。
それが、高度成長期の日本にぴたっとハマったんでしょうね。
当時レジャーという概念さえ定かでなかった頃。
若代将は、自由奔放に遊びまくる。
スキーやヨットなど、ついには海外ロケまで。
高度成長期というのは、なんとなく自分も金持ちになる、余裕のある生活ができると夢見られる時代なんです。
だから、加山雄三に将来の自分も重ねられる。
今の時代はどうかというと、非正規が労働者人口の50%になろうかという時代。
そこで、はかない夢にさえ酔えない時代だってこと配給会社は、わかってないのかな。
そんな時代だからこそ元気をこの作品からということなんだろうけど。
いかんせんレベルが違いすぎる。
なんか、元気にしてくれる作品を配給して。
これ切に望んでます。
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