誰にでも起こりうる悲劇
1996年のアトランタオリンピックで起こった事件を実話に基づいて描かれた作品です。
流石クリント・イーストウッド監督きちっとした作りで、見るものを満足させてくれます。
ある日、自分の身に覚えのない事で疑いの目を向けられたら。
松本サリン事件を連想させます。
1994年に長野県松本市で起きた、オウム真理教教徒による神経ガスのサリンを用いた多数殺人事件です。
死者は、8名にも及び現在も後遺症に悩む方々がおられます。
この事件でも、最初に嫌疑をかけられたのは、第一通報者です。
後にオウム真理教が地下鉄サリン事件を起こし松本事件にも関係していると判明するまで、実に半年間犯人であるかのように扱われました。
家宅捜索から薬品が押収され、あたかも彼がサリンを生成したかの様に疑われました。
しかし押収されたのは、農薬であり専門家はサリンの生成は不可能と指摘していたにもかかわらず、犯人として疑われたのです。
一度疑いをもたれると怖いですね、マスコミもそれに追随する形で報道を続けました。
そうなると執拗な捜査が続き、事件発生直後の「不審なトラック」の目撃情報は黙殺されます。
恐ろしいですね、こうして無実の人がいとも簡単に犯人に仕立て上げられる様を思い出します。
無実は、証明されたのですが、嫌疑をかけられた者の苦悩はいかばかりでしょう。
アメリカでも同じことが
いつの時代でも、同じことが繰り返されるのだと感じてしまいます。
被害を受ける人はどちらも善人であることが、何とも悲しいですね。
作品は、嫌疑をかけられた主人公の戦いを描いております。
ここからは、クリント・イーストウッド監督の出番です。
登場人物一人一人の描き方が非常に丁寧で、見事なドラマとして出来上がっております。
流石クリント・イーストウッド監督、御年90歳(1930年生)になってもまだまださえわたった演出をされております。
次回作にも期待したいですね。
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