光州事件とは
韓国民主化の長い歴史の中で起こった、悲しい事件です。
作品はこの光州事件を中心に実話に基づいて描かれております。
韓国では、朴正煕大統領の暗殺後、1979年に軍事クーデターで全斗煥が実験を握り、当時「ソウルの春」と呼ばれた民主化を抑圧するようになります。
その中で、1980年に全羅南道光州市で起きたデモ隊とそれを鎮圧した軍との衝突です、死者は240名、行方不明409名(518記念財団ホームページより)にも及んでいますが、その正確な数字は未だ解明されてはいません。
作品では、重たい主題でありながらエンターテインメント的な描かれております。
当時、現地の映像やニュースに触れた時の印象は、もっと殺伐とした感情を抱いたものです。
市民に銃を向けた軍
市民も参加したデモ隊に軍は一斉射撃をします。
市民は、郷土予備軍の武器庫を奪取し応戦します。
まさに泥沼のような状態に突入してしまいます。
なぜ、ここまで事が大きくなってしまったのでしょう。
事件が全羅南道光州市で起こった事が、何を意味するのでしょか。
韓国には、地域間の対立というものが存在します。
とくに、首都ソウルのある慶尚道と光州市のある全羅道は対立関係にあります。
政権を握ってきたのは主に慶尚道出身者達です。
これは何を意味するかと言うと、社会の中であらゆる不利益を受けてきたことをさします。
そこで、大統領候補であった光州市出身の金大中が逮捕されたのも、光州事件の大きな引き金ともなっております。
韓国民主化の長い闘い
光州事件は、韓国民主化の長い闘いの中で起こった悲しい出来事です。
拉致、監禁、死刑判決、そしてアメリカへの亡命、そして再度の帰国、監禁を戦い抜いた金大中は、やがて1997年に大統領となります。
全羅南道市民の熱狂は如何ほどだったでしょう。
しかし、2002年の金大中の3人の息子たちの不正蓄財が発覚し金大中は、退任します。
ここに、韓国社会の難しさと言うか、複雑さを感じます。
歴代の大統領はほぼ退任後に、不正蓄財などで逮捕、起訴される現実。
不正が正されるのだから、それは良い事なのでしょうが、政治と金という問題が密接に関係している韓国社会の構造とも言えるのでは。
映画のラストで、記者を光州まで案内したタクシー運転手が名乗り出なかったのは何を意味するのでしょうか。
名乗り出れば、英雄として名を上げたかもしてないのに。
タクシー運転手は、慶尚道ソウルで暮らしてます、全羅道金大中が大統領になるまでは、軍事政権も含めて体制側の地域で暮らしているわけで、また職業柄世の中の空気を肌で感じていたはずです。
地域間の対立という問題もそこにはあったのではと言うのは、深読みでしょうか。
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