セックスシンボルとしての印象が強かった
1936年ー2018年 82歳で他界した押しも押されぬハリウッドスター、バートレイノルズ。
大学時代は、アメリカンフットボールの全米強豪校フロリダ州立大学で選手として活躍。
その後1959年にテレビに出演、1961年に『奇蹟の天使』で映画デビュー。
『さすらいのガンマン』『100挺のライフル』などで、一躍頭角を現しまたたくまにスターにのし上がりました。
その後、主な出演作は『ロンゲスト・ヤード』(1974)、『トランザム7000』(1977)、『キャノンボール』(1981)と続きます。
しかし、若くしてスターダムにのし上がったレイノルズは、米『コスモポリタン』誌でヌードを披露したことから、セックスシンボルのイメージが強く。
出演作もいわゆる娯楽作品が多く、1980年代後半からの人気低迷、離婚、自己破産などあり。
ライバルのジャック・ニコルソン、クリントイーストウッド、ロバートデニーロ等に水を開けられた格好になりました。
そんな彼が1997年に『ブギーナイツ』でアカデミー賞助演男優賞にノミネートされたあたりから演技派としてのポジションを獲得するようになります。
そんな彼が亡くなる前年に出演したのが『ラストムービースター』(2017)。
彼の自伝ともいえる作品で、落ちぶれた映画スターを描いております。
アメリカの白人中流が最も元気だったころに活躍
バートレイノルズが活躍したのはアメリカがもっとも元気のよかった時代で。
やがてその後におとずれるベトナム戦争の泥沼化、アメリカ経済の衰退、白人中流の消滅。
アメリカ社会の衰退に歩調を合わせるかのようなバートレイノルズの人生。
ライバル達の様に、社会派や演技派としての開眼が遅かったのも事実です。
良くも悪くも、アメリカ白人社会の栄枯盛衰を地で行くような人生。
しかし、そんな人生を『ラストムービースター』で見事に演じてくれました。
82歳となり今さら過ぎ去ったことをどうのこうの言っても始まらないのですが。
これだけ浮き沈みの激しい人生を送った人の台詞一つ一つに重みがあります。
作品の中で、精神薬に頼る若き女性に「本当の憂鬱とは、そんなもんじゃない、この年まで来てさらに歳を重ねる憂鬱に比べたらたいしたことはない」。
老いることへの素直な言葉だと思う。
やがて、自分にもその順番がやってくる。
私達だって老いから逃げることは出来ないのですが、ただその時まで、目をそらしているだけ。
そんな、意味深い感慨をこの作品はくれます。
ハリウッドの一時代を築いたスターの最晩年の言葉に耳を傾けましょう。
人生の重みがひしひしと伝わってきます。
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