インドの鬼才リジョー・ジョーズ・ベッシーリ監督の娯楽映画とは一線を画す作品。かと言って、難解極まりないというわけではないのですが、モチーフに聖書の『ヨハネの黙示録』が出てきますので、それなりの深読みが必要となるかも。
インドといえばヒンドゥー教の国牛は神様では
作品では、普通に牛肉が食用としてでてまいります。
あれ、 インドといえばヒンドゥー教の国、牛は神様では と疑問がわいてくるのですが。
インドにおける宗教分布は、ヒンドゥー教80.5%、イスラム教13.4%、キリスト教2.3%、シーク教1.9%、仏教0.8%、ジャイナ教0.4%となっており、インドと言っても千差万別。
イスラム教徒が約1億7567万人、彼らは牛肉は食べますので、キリスト教徒とあわせると、約2億人の人がインドでは牛肉を食べるわけで。
ですから、映画の描写もごく当たり前ということに。
舞台のインド南部には、毎年恒例の『ジャリカット』という牛追い祭りがあるくらいですから。
実際インドの牛の飼育頭数はブラジルに続いて多く、牛乳の生産量は世界2位、バターの生産量は世界最大となります。
飼育されているのは主に水牛、インドの牛肉生産量は世界11位を誇ります。
そんな、南インドの村を舞台に逃げ出して暴れまわる一頭の水牛を軸にドラマが展開します。
ダイナミックで迫力ある映像が描き出すのは、『黙示録』の世界?
プロローグとエンディングに聖書の『ヨハネの黙示録』からの言葉が引用されております。
一頭の暴れまわる水牛を追いかける人、人。
そこに交錯する憎しみや怒りの連鎖。
それらが、『黙示録』の世界を象徴的に描きだしているのでしょう。
映像は、なかなか実験的な表現や描写で迫力のあるものとなっております。
インドの娯楽映画になれていると少々面食らうかもしれませんが。
ただ、『黙示録』からの比喩となるとなかなか解釈が難しくなります。
我々日本人には、馴染みのない世界観ですし。
なにせ『黙示録』自体が難解で、そう簡単に解釈できるものでもなく。
ちょっと我々には、難易度の高い映画かなといのが、感想です。
そんな作品ですが、チャレンジしてみるのも面白いかも。
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