『異端の鳥』悪意と暴力、剥きだしの性がこれほどまでに描かれるとは

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戦争は如何に人々の心をすさんだものにするか、そしてそこに反ユダヤ主義というヨーロッパで連綿として続く負の遺産が加わるとどんなに悲惨な光景になるか、この作品は描き切っております。作品は小説の映画化ですが、人間の悪、悪意、剥き出しの性をえぐりり出してます

作品データ

原題:The Painted Bird
上映時間:169分
監督:ヴァーツラフ・マルホウル
製作:チェコスロバキア、ウクライナ
公開:2019チェコ

異端の鳥』(いたんのとり、原題:Nabarvené ptáče / The Painted Bird)は、2019年制作のチェコウクライナ映画

第二次世界大戦中、ホロコーストを逃れて疎開した1人の少年が、様々な差別や迫害に抗いながら強く生き抜いていく姿を描く。ポーランドの作家イェジー・コシンスキ原作の同名小説の映画化[4][5][6][7]第76回ヴェネツィア国際映画祭ユニセフ賞受賞[8][9]。R15+指定。

なお、本作の言語には舞台となる国や場所を特定されないよう、インタースラーヴィクという人工言語が使われている[10][11][12]。この言語が映画で使用されるのは史上初めてのことである[13][14]

第32回東京国際映画祭のワールド・フォーカス部門では「ペインテッド・バード」のタイトルで上映された[15]
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

口コミで評判になり、満席

評判の作品のようで、各誌批評で取り上げられております。

東京では、上映館が日比谷シャンテだけなのでしょうが、2020.10.11は日曜日という事もあってか、16:15の回(全4回上映)は満席でした。

日比谷シャンテじたい見やすいのですが、座席が狭いので満席で3時間近い作品は少々苦しいですね

それに、ロビーも狭く、正直コロナ感染が少し不安に感じました。

ただ、作品のほうは、力作でこれでもかこれでもかと人間の悪、悪意、暴力、剥きだしの性が描き出されます。

人間はここまで残虐になれるという事を肝に銘じておきたいですね。

少年を助けたロシア兵が少年に残した言葉「目には目を歯には歯を」がズシリと響きます。

根底にある反ユダヤ主義

日本にいるとよく理解できないのですが。

ヨーロッパでは、その起源は古くはローマ帝国の時代までさかのぼることになるのですが。

簡単に説明すると、ユダヤ教とキリスト教という宗教の違いが大きいのですが。

イエスキリストを十字架にかけたのはユダヤ人であるという認識から、キリスト教徒によってユダヤ人が迫害されたわけで。

しかし、イエス様はユダヤ人ヨセフとマリアの間の子供のわけで。

正確にはマリアがまだ処女であった時に、精霊の働きで神がマリアの胎に授けたのですが。

また、聖書はユダヤ人を差別、迫害するための書でもないのですが

ヨーロッパでは、反ユダヤ主義が根強く残っております

反ユダヤ主義を上手く利用したナチ

作品の舞台となるのは、東欧のとある国となっておりますが。

ナチスドイツの影響が色濃く描かれております。

第一次世界大戦後の世界大恐慌の中で、ドイツで台頭したナチス

彼らは、経済的困窮や自らの政策の行きずまりを反ユダヤ主義を利用しユダヤ人にその矛先を向けたのであり。

作品では、まさにその犠牲となった一人の少年を通して、いままでとは違う角度からあの時代を描いております。

反ユダヤ主義というものが、政権の利用の為だけでなく、一般民衆にどれだけ根強いものだったのか、作品を通して知ることが出来ます。

この稀有な作品が、より多くの劇場で公開され、より多くの方の目に触れることを望んで止みません。

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