『ルッツ 海に生きる』時代の流れに逆らえない現実、仕方のないこと

映画フィルムのイメージ画像 映画館

映画『ルッツ』まるで、ルキノ・ヴィスコンティの『揺れる大地』へのオマージュと受け取れる作品。時代の流れに抗う一人の漁師、彼のかたくなさを理解しつつも生活の為、現実的方向に苦悩しながらも流れて行くのにも納得できる。人は時として「風にそよぐ葦」にならざる負えない・

地中海マルタ島の漁師

サンセットの無料画像

ルッツと呼ばれる小舟を代々受け継いで、ほそぼそと漁に生きる男。

彼は、家族をやしない生きてゆこうとする。

しかし、時代のながれがいやがおおでも押し寄せる。

トロール漁法を使った大型漁業。

もう、ルッツの出る出番はないのである。

男は、こだわり続ける。

生活は、なりたたなくなる。

やがて彼は、そのかたくなさを捨てる時が。

致し方ないと。

たとえそれが、資源の枯渇をはやめるかもしれないけど。

そんな流れに、逆らえないのはしかたない。

そうなっとくさせられる作品です。

ルキノ・ヴィスコンティの『揺れる大地』へのオマージュ

シチリア島のイメージ画像

そう取れる作品。

『揺れる大地』は、シチリア島を舞台とした、漁師の物語。

辛酸をなめつくす漁師一家の物語。

『ルッツ 海に生きる』にはそれに通じるものが、流れている。

しかし、ルキノ・ヴィスコンティは贅沢な監督だ。

彼の家系は、代々貴族の大富豪。

まさに、金に糸目を付けぬとはこのことだろう。

映画の港のシーンなどは、島全体を買い取ってしまったのではと思わせる。

大群衆のシーンには、圧倒される。

いまだと、CGを駆使すれば、そんなシーンは作り出せるだろうが。

そこは、実写だけが持つ真実が、存在する。

もう、あんな映画は、作れないだろうな。

そんなことを考えながら、『ルッツ 海に生きる』を鑑賞するのもいい。

群衆シーンやダイナミックスさはないけど。

時代に対して不器用で愚直な男。

そんな男の生き方に思いをはせるのも、この作品の狙いなのでは。

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