国立アーカイブの35mmフィルムで見るクリントイーストウッド特集も今回でラストとなりました。今回は『ダーティハリー』(1971)と、『真夜中のサバナ』(1997)それぞれその時代を懐かしく振り返り自分の人生と照らし合わせてみたり、なかなか楽しい企画でした。
『ダーティハリー』(1971年作)
まさに当時は型破りなシカゴ市警のダーティハリーことハリー・キャラハン刑事の活躍は痛快でした。
1960年が進むにつれ1950年代や1960年代の初期の社会的標準と保守主義に抗う形で台頭してきたカウンターカルチャー。
そんな時代の空気を反映してか、ハリー・キャラハンは型に収まりきれない刑事を見事に演じておりました。
44マグナムをぶっ放し、秩序は俺が守ると言わんばかり。
無法状態の秩序を保つ保安官のごとく、保守的な立場に居ながら上からの締め付けには従わない、そんな役どころです。
当時は、そんな型破りな刑事は新鮮だったし、派手なアクションもよかった。
ただ、あれから50年という時がたってしまうと、やはりやはり作品に作り物感があるのは致し方のない事か。
今では、もっと緻密にCGも駆使しよりリアルに作品を作り上げる時代。
どうしても、それと比べて物足りなさを感じてしまう、銃撃戦で負傷した時の血のりがあまりにも赤色がペンキに見えたり。
主人公が活躍する場面では必ず、軽快な音楽が流れたり。
当時は、そんなものだと違和感は感じなかったが。
しかし、そんな作品に1970年代作品という手作り感が懐かしい。
ハリー・キャラハンがその後の刑事像やアクション映画に影響を与えたのは、疑いの余地のないところで。
大いなる1970年代を楽しむ作品。
『真夜中のサバナ』(1997年作)
1944年に発売されたジョン・ベレントのノンフィクション小説の映画化です。
小説は、発売当時より爆発的売れ行きとなりベストセラー連続一位記録を塗り替えました。
アメリカの南部の歴史都市「サバナ」が舞台で、そこで実際に起こった殺人事件を巡る、サスペンススリラー。
ブードゥー教の呪法やゲイ・クィーンなど、ディープサウス趣味がかなり盛り込まれた作品です。
映画の方は、原作の風合いを上手くは出しているとは思うのですが。
あまりにもテンポが一定なため、劇的盛り上がりに欠けるきらいがあります。
それと、謎解きと言ってもそんなに複雑ではなく、そうかといって、見るものに説得力があるかというと、これも???な出来です。
アメリカなのにアメリカらしくない「サバナ」。
そんなアメリカ南部の歴史都市「サバナ」のディープサウス趣味に浸るには格好の作品とでもいえるでしょうか。
35mmフィルムで楽しませてくれた、国立アーカイブの今回の企画。
また、映画ファンを楽しませてくれる企画期待してます。
コメント