人間は平等だと言う、しかし決してそうとは言えない。育った境遇や育てられ方で差が出てくる。だから、この作品の主人公に共感する人はそう多くないような気がする。
1982年製作
バブルに向かう前夜、茨城県の農村部を舞台にした作品。
監督柳町光男、主演根津甚八、秋吉久美子
ある農家のお話。
鹿島臨海工業地帯の建設で、農村がどんどん壊されて行く。
主人公は、農業に見切りをつけてダンプの運転手に。
やがて、覚せい剤に溺れて愛人を殺害。
ずぶずぶの農村の情景
開発で、壊されて行く農村の姿、人々の生活。
そこで、泥沼の様に薬物に溺れて行く主人公。
実に切ないお話。
我慢ということが出来ず、思ったように行かないと暴れ出す主人公。
そこには、浴びるほどのお酒の力が。
やがて、それが薬物に代わって行く。
どうしようもない主人公のお話。
![映画『さらば愛しき大地』ポスター](https://i0.wp.com/himabu117.com/wp-content/uploads/2021/10/91YdOCOcf1L._AC_SX342_.jpg?resize=600%2C446&ssl=1)
悲しいかな、人間は平等ではない。
それぞれ、人間には、能力、育った家庭誰一人として同じ人はいない。
だから、主人公の様にずぶずぶな人生に溺れてゆく人も家庭も。
移りかわる農村の姿。
より稼ぐ手段を選ぶ、主人公。
稼げる生活は、その稼ぎを費やすことを目指す。
田園風景の道路の片隅にポツンとある、やたらけばけばしいネオンのある粗末な平屋の建物。
その中で繰り広げられる宴。
こぎれいに着飾ったホステス、じゃぱゆきさんの姿も。
男達は、そこでむさぼる様に欲望を満たそうとする。
都会とて同じ構造なのですが、田んぼの真ん中にそんな小屋があるのが、農村部らしい。
人間の切なさを描きつづける 柳町光男
開発が進む農村部では、こんな主人公の環境は珍しくないのだろう。
誰でも、この主人公の様に落ちて行くわけではないのですが。
田舎の窮屈さ、逃げ場の少ない環境を良く描いております。
閉鎖性とでも表現したらいいのだろうか。
都会で生きる者とは違う、閉塞感とそこに生きる人間の切なさを丹念にあぶり出している。
この閉鎖性は、今でもあまり変わらないのか。
若者は、都市部を目指して一極集中が進み。
現代では、もっと違った形になっているかもしれない。
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