アメリカ合衆国、行ったことのない者には、憧れの土地であり。勝手に自分の中でイメージをふくらましてしまうのですが。そんな期待打ち砕いて、メンフィスというロックンロールの聖地でさえこんなものかと思ってしまう作品。アメリカに期待しすぎているのかも。
1989年作、永瀬正敏&工藤夕貴
この二人が出演することで、当時日本でも話題になったのですが。
物語は、横浜からやってきた二人が、列車でメンフィスに到着するところから始まります。
お世辞にも、演技がお上手とは言えないのですが。
ロックンロールの聖地に、ミーハー的に観光で訪れる、東洋人と言う設定で。
アメリカ映画の場面と雰囲気の中では、ハッキリ言って浮きまくっているのですが。
かえってそれが、作品の中にスパイス的要素を持ち込んでおり。
これは、これでありだなと感心します。
しかし、二人の列車のやり取りですが、スタジオ撮影でカメラ位置は変わらず。
通路側から二人の会話を描くのですが。
窓の外の風景が、はめ込みといいますか。
まるで、ドリフのコントでも見てるかのような車内は、ちょっと拍子抜けします。
ロックンロールの聖地メンフィス
テネシー州メンフィス、州都ナッシュビルに次ぐ第二の都市なのですが。
これが、南部の田舎都市の雰囲気が、ストレートにつたわってきます。
メンフィスと言えば、エルヴィス・プレスリー。
そのエルヴィスの録音に使った有名なスタジオを二人が訪れるのですが。
正直こんなものか。
小さいし、何の変哲もない、町中にポツンとあるスタジオで。
名前だけが、大きく独り歩きしている感が在ります。
そんな、南部の都市であって田舎。
ああ、こんなものかと言う風景がつづきます。
アメリカを訪れたことのない私にとって、アメリカってニューヨークとかサンフランシスコあるいは西海岸のロスアンゼルスあたりのイメージで捕えてしまうのですが。
逆にそんな地域が、ごく一部の都市部でしかなくて。
国土の多くは、意外と田舎町の様相を呈しているのかもしれませんね。
メンフィスの安宿の一夜を物語に。
そこに泊まる、三組。
もちろん日本組も入っております。
それぞれの一夜をオムニバス的に描いております。
先ほどもいったように、オシャレな都会的な雰囲気などみじんもなく。
まさに、アメリカ南部の田舎町の安ホテルの一夜の物語なのですが。
不思議な余韻を残してくれます。
とんちんかんな日本のカップル。
たまたま相部屋になった、二人組の女性。
失業して、自暴自棄になってる白人。
アメリカ銃社会の一旦が、如実に描かれていたり。
ロックンローラー憧れの街に、失望したり。
そう、まさにアメリカテネシー州メンフィスの一夜の出来事とその余韻。
それを楽しむのが、この作品でしょうか。



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