前評判高い韓国映画です。
いよいよ2020年1月に日本でも封切られました、2019年カンヌ国際映画祭で韓国映画初のパルムドールを受賞した作品です。
さっそく見てきました。
韓国映画をよく見る筆者としては、いままでカンヌ国際映画祭でパルムドールをとれなかったのが不思議なくらい、韓国映画はレベルが高いです。
韓国映画もいくつかの流れというかジャンルがあると思うのですが、いわゆる韓流といわれるメロドラマもその一つですが。
筆者は、どちらかと言うともっとシリアスというか、そこまで描くかというぐらい、コテコテ韓国映画が大好きなのですが。
最近の韓国映画は、ハリウッド映画を意識してるというか、少し流れが変わってきてる感じがします。
ファッショナブルな韓国
が本作では展開します。
本当に、そんなところが韓国に多くあるのだろうかと言うと失礼なのですが。
日本でも、バブル真っ最中の頃によく作られたトレンディドラマを連想してしまいます。
本作には、かなりグロテスクな場面も結構出てくるのですが。
それらが、あまり現実感を感じさせないように作られている様に、思えてならないのです。
人間の原罪を描いてきた韓国映画
まさに、人間の原罪とか性ともいうような多くの作品を韓国映画の中に見てきました。
「ペパーミントキャンディー」、「黒く濁る村」、「リ・ベラメ」、「カエル少年殺人事件」、「母なる証明」等々。
あるいはキム・ギドク、キム・ギヨン両監督の一連の作品の、あの逃れられない人間の性、そして歴史に翻弄されてきた民族の悲劇。
自らの恥部ともいえるところをさらけ出す、人間の醜さ残酷さをこれでもかこれでもかと聴衆の前に見せつける。
そんなパワーが、韓国映画にはあったのですが。
ファッショナブルになってきた韓国映画
本作の中でも、半地下のような劣悪状況に住む人々が発するカビ臭い匂いをスメル(smell)と表現する場面があります。
以前の韓国映画では、本当に画面から匂ってくるかのような表現をしてたのですが。
本作は、意図的とでもいうか、それらをオブラートに包んでいます。
最近の韓国映画の傾向でしょうか、いままで描いてきた韓国の韓国らしさを抑えている様に思えてなりません。
賞取を意識した作品のように思えてなりません。
それはそれで悪いことではないのですが。
いや、むしろ当然ともいえます。
なぜ、今まで賞とは無縁だったか、どうしたら賞が取れるか、その為にできることをやった結果が今回の受賞になったのだと。
それは、やろうと思ってもなかなかできないことで、それが出来るということは、いかに韓国映画のレベルが高いということの証明だと考えます。
韓国映画が描いてきた、コテコテの作品が見たい。
それでもなおかつ、過去韓国映画が描いてきた作品をこれからも見たいと思うのは私だけだろうか。
分断された国家と民族、また地域間にいまだに残る差別、そんな中で行われる複雑な政治構造。
そんな社会が生み出す諸問題、そして庶民の叫び。
それらをスメル(smell)ではなくて、スクリーンから湧き出てく作品に出会いたい。
本作品を見て、そんな思いを募らせるのは、私だけだろうか。
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