『DOGMAN ドッグマン』いわれのない不幸、でも私は神のもとに

映画『DOGMAN ドッグマン』ポスター 映画館

ーネタバレを含みますー

映画『DOGMAN ドッグマン』まさに映画でないと作れないストーリーなんですが、なぜか現実味と説得感がある。人生の不幸に見舞われたとき、どうにも行き場のない絶望感、どうします。そんな問に答えを出してくれるラストが素晴らしい。

人間とはなんて不公平な生き物なのかな

幼少期から父親の虐待。

そのせいで、車椅子の生活。

でも、父親は敬虔とまでは行かないが、クリスチャン。

主人公の姑息な兄も含めて、標準のアメリカ家庭よりかは、信仰を持つ家庭。

荒れ狂う父。

でも、クリスチャン家庭。

そう、こんな理不尽は、ごく当たり前。

こうなると被害者の息子は、神を呪ってもおかしくない。

しかし、彼は信じられないくらい真っすぐな少年。

こんな、おとぎ話のようなおはなしは、映画だからつくれるなと。

だけど、作り話だとしても作者の思いが込められていると。

見るものに説得力を持つ、不思議な力を持った作品です

ワンちゃんたちが、もう一つの主人公

不幸を絵に書いたような主人公の生活。

そんな、彼の唯一の友人であり、父であり母であり。

そんな役どころの犬たち。

無償の愛を提供してくれる

そんな存在なんでしょうね。

彼が生きてこれたのも犬たちがいたから。

だから、そんな犬たちのためには、自らの命をも捧げる。

そんなラストが、心にしみます。

漁師

ケイレブ・ランドリー・ジョーンズの怪演

といいますか、成人した主人公を演じる。

その圧倒的存在感が光ります

特筆すべきは、ドラッグ・クイーンを演じる場面。

「リリー・マルレーン」を歌うマリーネ・デートリッヒを演じる場面が圧巻だ。

キャバレーを主人公が、初めて訪れる場面のユーリズミックスの「sweet dreams」も心憎い。

スタッフ、役者全てにおいて完成度が高い。

なかなかこれだけの作品には、お目にかかれない

ラストがたまらない

打ちひしがれる主人公。

人生の辛酸をなめ尽くし。

なおかつ、愛する犬たちとも別れの時が。

不幸な星の下に生まれ、理不尽な暴力に耐え、不自由な体で必死に生き。

なぜこれほどまで、神は私に試練を与えるのか。

人生の不条理の塊のような、主人公の人生。

しかし、行き場のない主人公のラストに向かうところは。

そう、それでも私は、神様の身元に帰ります。

泣かせるラストだ

映画『DOGMAN ドッグマン』公式サイト:https://klockworx-v.com/dogman/

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