黒人が一人も出てこない不思議な作品『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』

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グェンテン・タランティーノ監督9作目

2019年公開のレオナルド・ディカプリオ、ブラット・ピット共演の大作です。

1969年のハリウッドを舞台に、落ち目の俳優(ディカプリオ)、そのスタントマン(ピット)という配役です。

当時のハリウッドがそうだったのでしょうか、二時間半の作中、黒人が一人も出てこないのです

なんかとても不思議でした。

まあ、アメリカの白人社会の絶頂期ですからね。

劇中劇もウエスタンですから、その傾向は強いのかと。

アメリカの絶頂期

だったのでしょう、白人の中流家庭が存在していた頃の話ですから。

アポロ11 号の月面着陸成功もこの頃です。

しかし、方やベトナム戦争の泥沼化で陰りが見え始めた頃でもありました。

アメリカ社会の白人はもはや映画の中で全盛期を思い出すしかないのかも。

そんなこと言ったらお叱りが来るかもしれませんが。

その後のベトナム戦争後の経済の凋落、中流家庭の喪失、白人社会のレベルの低下、黒人社会の台頭と時代は移って行きますが。

そんな当時を思う存分思い出させてくれる作品です。

ヒッピーとシャロンテート事件

1960年代アメリカでもっとも花開いたヒッピー既成概念の伝統、制度、保守的な男性優位の価値観を否定するカウンターカルチャー。

作中のなかでも、退屈な前半に比べ、後半にヒッピーが出てくるあたりから、作品がしまってきます。

描き方は、お馴染み性解放、ドラッグ解禁のイメージですが、当時のヒッピーコミュニティを再現しており興味深いです。

作中でも、シャロン・テートが出てきており、事件を思わせる構成がなされております。

シャロン・テート事件は、映画監督ロマン・ポランスキーの妻でテレビドラマ『じゃじゃ馬億万長者』で有名なシャロン・テートが1969年妊娠中の自宅で友人らとともに狂信的カルト信者に殺害された事件で、当時世界を震撼させました。

その時のカルト集団を率いていたのが、チャールズ・ミルズ・マンソンでアメリカのカルト集団の指導者で、カリフォルニア州で「マンソン・ファミリー」の名のヒッピーコミューンを率いて集団生活をしておりました。

その描写が作品の後半で出てくるのですが。

この展開がないと、この作品は退屈なものになっただろうなと感じます。

しかし、当時日本でもヒッピーが流行りましたが、あまり根付かなかったですね。

一過性のもので終わった感じです、格好だけまねていた感じでしょうか、それでよかったんだと思います。

そこは、フリーセックス、ドラッグは、あまりにも過激で、また反キリストという文化もなかったし。

まあ、当時のカウンターカルチャー、風俗を懐かしむ方にはうってつけの作品ではないかと。

逆に言うとそれ以上は望めないとも。

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