映画『ボイリングポイント』給料はたくさんもらいたい、だけど過度なプレッシャーは嫌だ。誰でもそう思うんですが、世の中そうは上手くできていませんよね。でも、何処かで折り合いをつけないとね、だけどその決定権は本人にあるので慎重に選択しましょう。
見る人の好みや年齢にもよるけど
いきなりベスト5に入る作品なんて言っても、あくまでも私の私見。
でも、大人が十分堪能できる力作と推薦したいです。
上映館でもロングランしており。
聴衆のボイリングポイントも高くなってきてるのかな。
イギリスの人気高級レストランを舞台にした作品。
その厨房とフロアスタッフの物語。
カメラは、ワンショットでラストまで駆け抜ける。
そのあたり、実にその臨場感を上手く醸し出している。
自らもそこで働くスタッフのような気持ちにさせてくれる。
実に心憎い演出だ。
出演者の演技力も非常に高い。
最近の日本映画のように、まるで日常そのままを切り取ったかのような平板な演技とは違う。
少々大げさでも、出演者はしっかりと演技をしている。
現実の世界では、そうではないかもしれないが、映像で何かを伝えようとしたときに、必要な要素だと思うのですが。
そのあたり、最近の日本映画やテレビドラマも含め素人演技が好まれるのは、嘆かわしい。
バブルの頃は乾杯ワークと言った気がしますが。
そう、レストランや居酒屋でのお仕事をこう呼んでいた時代もあった気がするのですが。
いかにも華やかで、ウキウキしそうなお仕事のようですが。
実際は、ほぼ3Kとかブラックバイトに近い世界だと。
ブラックバイトは言いすぎかもしれませんが、実際昨今の新聞記事などでも、外食産業でのブラックぶりは世の方の知るところかと。
そう、実は結構ストレスフルな仕事なんですよね。
ホテルの厨房などでもそうでしょうが。
決して、和気あいあいとお仕事なんてありえないのでありまして。
それが有名レストランとなりますと、その出す料理からサービスに至るまで、クオリティが求められるわけで。
それを提供する側のプレッシャーは並大抵ではなく。
この作品のすごいところは、そのプレッシャーを見事に伝えているところかと。
正規で働くか、非正規で働くか
そんな事を考えてしまう。
労働者の40%を超えている非正規労働者。
若い人は、その選択を考える時があるだろうな。
なかなか正規になれない時代に贅沢なと、思われるかもしれませんが。
結構正規社員を嫌って、非正規で働く若者も多い昨今。
その理由は、この作品を見るとなんとなく感じると思うのですが。
そう、収入が高いということは、それだけプレッシャーがかかるということ。
作中でも、プレッシャーに潰されそうなシェフに比べて、何処か楽しそうまでいかなくても呑気にできるのは、非正規と思われる人たち。
そういうことなんですよね。日本だと非正規は、正規社員のほぼ半分〜3分の2位の年収で生活しなくてはならなくて。
非正規だと、ほぼ昇給やボーナスは期待できないし、年齢とともにその格差は広がるばかり。
舞台のイギリスは、イギリス人の人件費は、移民より高く設定されているからまだ日本よりマシかもですが。
まあ、飲食業ともなると大手チェーン店や有名ホテルを除けば、腕一つで生きてゆくシェフとかの世界ですから、もともと非正規労働の代表格かもしれませんね。
どちらにしても、生きてゆく事、生活してゆく事は大変だと感じさせる作品です。
では、自分はいかに仕事と関わり、その見返りとしてどのくらいを望むのか。
それによる、プレッシャーと自分の人生の価値観との兼ね合いをどう取るか。
そんな事を考えさせられる作品です。
答えは、自ら出してください、だってあなたの人生ですから。
映画『ボイリングポイント/沸騰』公式サイト:https://www.cetera.co.jp/boilingpoint/
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