ーネタバレを含みますー
映画『ビニールハウス』自宅における老老介護の現実が迫ってくる。みんな目をそむけがちな問題なんだけど、高齢化社会を迎えてそうも言ってられない。「半地下家族はまだまし」のキャッチコピーは、どこか的外れだ。介護の問題は、一人で抱え込まないこと。
『パラサイト』とは別問題
「半地下はまだまし」のキャッチコピー。
あえて「パラサイト」を持ってくるあたり、宣伝効果を狙ってでしょうが。
本作は、全く別の問題提起。
あくまでも、介護の現場の現状。
あえて言えば、韓国のという注釈がつくかもしれませんが。
この問題は、万国共通。
老老介護をする夫婦の家庭に入る介護士の話。
彼女が住むのが、農業用のビニールハウス。
このあたりで貧困の問題を持ってきたいのだろうけど。
その割には。ビニールハウスの室内が、意外ときれい。
あまり悲壮感が伝わってこない。
確かに、まともな家に住めない経済事情があるのだろうけど。
日本だって、ネットカフェで生活する人も多いわけだし。
際立って、社会の貧困化が伝わってこない。
介護は経験したものしかわからない。
これもよく言われることなんですが。
この映画から、その様子は伺い知れる。
特に今回は、家庭における老老介護。
妻は、かなりの進んだ認知症。
そこに、ヘルパーとして主人公の女性が関わってくるんですが。
これだけ認知がすすんだら、施設だよなと思ってしまうんですが。
韓国も介護保険の事情は、日本と似通った形。
ただ、始まって日は浅いのですが。
特にこの家庭内で、介護をしようとすると家族は大変。
また、施設に入れようとしても本人が受け付けないとか。
致し方なく家庭でとなると。映画のような悲劇はあるだろうな。
かの有名な歌舞伎俳優の事件にしても、介護の重圧が背後にあったはずだ。
まだ、介護ヘルパーを入れられるのはましなほうで、これとて本人が頑なに拒めば、万事休す。
![漁師](https://i0.wp.com/himabu117.com/wp-content/uploads/2023/06/fisherman-2739115_640-2.jpg?resize=600%2C153&ssl=1)
根本的解決策はない
残念だけど。
アメリカのような車社会だと、認知症がなくても運転ができなくなった独居老人は、施設に入るしかない。
日本はどうかというと、認知症が進んでしまうと、火事や事故の心配があるので、施設ということになるけど。
そうでなければ、本人の意思で、かなり身体的障害が進んでも、自宅生活が可能となる。
ただ、今回の介護保険の改定で、訪問介護の点数が減らされたので。
今後は、このサービスが受けられなくなる心配が出てきている。
問題を抱えても、一人で悩まないこと。
とにかく相談できる人に相談して、解決方法を探ること。
でないと、根本的解決方法がないとはいえ、問題を抱え込んでしまうと、この映画のような悲劇が。
だから、地域社会でもこの問題を常に頭において。
相談できる場所、組織、サークルなどなどできる限り増えないと。
これから介護問題は、本番を迎えるのだから。
映画『ビニールハウス』公式サイト:https://mimosafilms.com/vinylhouse/
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