『声なき犯罪者』エンターテインメント作品としては十分合格点ですが、韓国映画には更にその先を求めてしまう。贅沢かもしれませんが、日本映画界が逆立ちしても勝てないようなパワフルな作品の出現を心待ちにしております。
心の隙間を見逃さない詐欺
どこの国でも同じだなとおもわせる。
電話による、いわゆるオレオレ詐欺。
なんで、あんな見え透いた嘘についだまされるのだろう。
電話を使った詐欺の被害を聞くたびに、皆さんそう思うかと思うのですが。
でも、相手の方が上手なんですよね。
こちらの心の隙間を狙ってくるといいますか。
ふっと脱力的で、無防備な時をまるで見透かすかのように。
さらに、映画では、その詐欺集団が実に巧妙で。
あらゆる台本と設定を用意して、個人情報を駆使して罠を仕掛けてくる。
映画ながら、なかなかやるななんて、へんに感心してしまう。
このあたり、韓国映画は上手いよね。
前半のスピード感や中盤にかけての説得力と展開、飽きさせないですね。
ただ、後半からクライマックスにかけては、予想通りの展開で、できればもう一ひねりあってもいいかなとも思うのですが。
まあ、標準以上の作品ではあります。
韓国映画に求める可能性
最大公約数的作品であれば、『声なき犯罪者』は十分合格点なのですが。
個人的には、もっとディープな韓国を見たいのですが。
『パラサイト/半地下の家族』で見せた、韓国の暗部。
半地下の湿気の多い住居にすむ家族、大学出ても職にありつけない現実。
経済発展めざましく、先進国の仲間入りした韓国にとっては、いまさらさらけ出したくないのかも。
自尊心を傷つけるのかもしれませんが。
そこが、見たいんです。
韓国の暗部とでもいいますか、地域間の対立。
いまだ根強い家族の絆、悪く言えば縛り。
そんな、ドロドロした部分が見せる、人間の原罪とも言うべき所業。
そんな、現在の日本映画界では、到底描けない、パワフルな作品。
そんな、作品の登場を待ってます。
もちろん『声なき犯罪者』は、エンターテインメント作品として十分楽しめますよ。
映画『声なき犯罪者』公式サイト:https://koe-voice.jp/
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