競馬サークルという特殊社会
いまでは、騎手希望者には、養成所があり入学試験があり、一般家庭からの希望者も騎手を目指すことの出来る時代になりましたが。
いわゆる競馬サークルと言うぐらいですから、非常に狭い世界で昔ながらの独特な社会を形成しておりました。
過去形で話すと、今は違うのかと言うことになるのですが、おおむね昔とその気質と言うか、環境というか、まあトレーニング法とか、芝の改良など、ハードの面では隔世の感がありますが、それ以外はなかなか変わりようのない世界なのではないでしょうか。
やはり、男社会であり、映画の主人公ミッシェル・ペインが騎手になれたのも、彼女の家庭環境、競走馬の育成牧場に生まれ10人兄妹の末っ娘で兄妹の多くが騎手として活躍しているという恵まれていると言えばそこまでなんですが。
何と言っても男社会、とにかくレースに出れるまでの下住が涙ぐましい。
その辺は、男も女もないのでしょうが、とにかく調教に乗れても乗れなくても調教の現場で、調教に乗せてくれるまで、来る日も来る日もお願いして回る毎日。
とにかく、その努力たるや半端な気持ちでは務まりません。
映画では、その当たりの苦労を丹念に描いています。
競馬サークルと言う世界
一口には語れませんが、またその内側にも入ったことはないのですが。
一筋縄では行かないのは、確かです。
一種封建的社会であり、賭け事にもなるのですから、そこには、自ずと闇というものが存在します。
以前JRA(日本競馬会)に、後藤浩輝という騎手がおりました。
彼は、2015年に40歳で自殺によりこの世を去っております。
通算1447勝(中央競馬)、G1 7勝(中央・地方)と見事な成績をおさめております。
彼の人気は、思いっ切りのいい騎乗、フェアープレイ、時にはやんちゃな騎乗というか負けん気丸出しの騎乗が思い出されます。
多くのファンもいて彼の出場する競馬場まで行く追っかけもいたほどです。
しかし、そんな彼がなぜ自殺をという事になるのですが。
落馬による怪我が大きな原因であることは間違いないことです。
頸椎骨折の疑い、頸髄不全損傷。第一、第二頸椎骨折、頭蓋骨亀裂骨折と二度の大ケガそして、自殺の前年にまた頸椎骨折すべて落馬にによるものですが、常に命の危険にさらされていたことは確かです。
そして、落馬の原因となったのが同じ騎手の斜行によるものや同じエージェントの騎手によるものであったりと不可解な点は否めません。
彼の性格上強烈なファンも多かった半面、強烈な敵もいたことは確かです。
そんな中で騎手を続けて行く自信がなくなったのもうなずけます。
やはり、競馬はギャンブルである以上そこには人知れぬ深い闇が存在することも確かです。
ミッシェル・ペインの奇跡
それは、たえまない努力のたまもの以外の何物でもありません。
先に述べたように、競馬社会というのは、そう簡単な世界ではありません。
それを割り引いたとしても彼女の頑張りには、生きる者に勇気をあたえてくれます。
2016年のオーストラリア最大のレースメルボルンカップでの彼女の騎乗。
あの、世界的名騎手ランフランコ・デットーリを向こうに回しての彼女の騎乗。
最後の直線のたたき合い、どうぞ皆様もスクリーンに向かって叫んで下さい。
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