「川の流れのように」という歌がある、人生が川の様に流れてしまっては、何も残らないのではと。映画『パリタクシー』はまさに、人生は積み重なるものだとつくづく感じさせてくれる。そうその積み重なった人生を振り返るのは、最後の最後でいいのだ、そこまでは、ただ走り続けて。
人生山あり谷あり
ありきたりの表現ですが、この表現以外にこの映画を表現できる言葉も見つからず。
この言葉が、これほど当てはまるのも珍しいのかな。
とにかくおしゃれな街パリの魅力をあふれんばかりに詰め込んだ、作品です。
フランスのイメージというと。
まずシャンソン、イブ・モンタンなんかが思い浮かび。
次に、シェルビーバルタンの『アイドルを探せ』なんてのが浮かびまして。
あとフランソワ・トリュフォーの映画。
特に『大人は判ってくれない』あたりでしょうか。
舞台は、やはり下町モンマルトルが浮かんでくるかな。
『パリタクシー』でも出てくる、1950〜をイメージするとそのあたりが。
白黒の映像でみるパリは、決して美しいばかりではないのですが。
人生の憂鬱さとか、儚さなんかのほうがパリに似合うのですが。
『パリタクシー』はあくまでもカラーで、とにかく美しくオシャレなパリを余すところなく。
人生を振り返る時
老人ホームに入所する老婆とそれを送り届けるタクシー運転手。
老婆の思い出の地をまわる旅になるあたりが、心憎い。
誰でも人生を振り返った時は、この映画の主人公ほどではないにしろ。
誰でも、一本の映画にはなるのでは。
それだけ、人生はいろんなことがあるよな。
じゃあ、それを振り返るタイミングはいつなのか。
老婆のように、今まさに人生の最終章を迎えた時でいいのではと。
それまでは、とにかく前向きな生活を送りたいと思う。
とにかく、人生はいろんなことがあるんだ。
日々の暮らしに追われるだけで、精一杯。
少し時間的余裕が生まれれば、もう最高。
だから、いちいち立ち止まって感慨にふけるなんてしなくていい。
精一杯走り抜いたあとに、老婆のようにすべてを振り返る時がやってくる。
そう、人生を振り返るなんてことは、最後でいいのだ。
映画『パリタクシー』公式サイト:https://movies.shochiku.co.jp/paristaxi/
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