ーネタバレを含みますー
『万引き家族』が高い評価を得るんだけど、ホントかなと思ってしまう。日本社会もう少しマシだよと。『高速道路家族』は二番煎じ感は否めないけど、出口のない韓国社会の閉塞感から来る不条理を描き出したところが優れている
『万引き家族』を評価できない私的な理由
まあ、カンヌ映画祭で最高賞をとった作品ですから。
でも、私としては、賞狙いの作りに思えてならないのですが。
なんと言っても、日本の実情を知らない外国の方にはさもありなんと納得してしまう内容に?なんです。
万引きで生計の足しにするという行為。
生活苦なんですが、確かに年金の少ない高齢者には増えていますが。
『万引き家族』は夫婦と子供二人(パチンコ屋で置き去りにされた)と年老いた母親とその元旦那の連れ子。
なんで万引きするのかとなるのですが、非正規といえども夫婦二人で働いているわけだし。
老婆も少ないけど年金、連れ子は生活費を入れているかは映画では不明。
住んでいる一軒家は、賃貸なんだけど福祉課の人のやり取りでいくら払っているかは不明。
となると、少ない稼ぎでもやっていかれると思うわけで。
そのあたりの経済事情の描き方があいまい。
生活苦になる最大の原因は、夫婦のパチンコと推測されるんですが。
このあたり、外国人には理解できないだろうなと。
それでいて、男が仕事中の怪我で働けなくなり万引きの加速という展開も。
仕事中なら労災があるだろうと思ってしまうわけで。
それが通らないほどのブラックで働いたのだというのかも。
それなら、福祉課にという選択もあるだろうと。
それらをせずに、いきなり万引きというのも。
まあ、セーフティーネットの活用もわからない家族、まあ実子でない子供と勝手に暮らしているので福祉課にはというのもわからないわけではないですが。
なんとも、説得力にかけるというかそのあたりが描かれていない。
それに、ギャンブルで生活苦というあたりを軽く流しすぎている。
だから、外国の人に、ああ日本ってこんなに冷たい国なんだと思われたくないのですが。
まあ、賞を取ってしまいましたからね。
『高速道路家族』は、はたしてどうかな。
私にとっては、実情のわからない国なので、『万引き家族』に賞を上げた外国人と同じような立場なんですが。
映画のラストに向かって、韓国社会いや日本も含めてですが、世の不条理というものがヒシヒシと伝わって来るのは、秀作です。
最初は、『万引き家族』のパクリかなとも思ったのですが。
それ自体悪いことでもないので、素材として利用して、作者の創造性が加われば大いに結構だと。
『高速道路家族』は、韓国社会の実情の厳しさ、一生懸命働いても一つの間違いで路上生活になる不条理が。
施設で育った女性が、大学生と出会い妊娠結婚。
大学生の夫は、中退して労働者に。
儲け話に騙され一文無しに。
家族で路上生活。
日本では見たことないけど、韓国では路上生活の家族のニュースも。
映画も前半は、ヤラセっぽいんだけど。
後半からラストに向けて、韓国社会ではさもありなんと納得してしまう。
そう、それでいて出口のない家族を生む背景になんとも言えない不条理感がただようのは、秀逸。
映画『高速道路家族』公式サイト:https://kousokudouro-kazoku.jp/
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