『パラサイト 半地下の家族』に比べて劣っていたわけではない。
2020年アカデミー賞作品賞は『パラサイト 半地下の家族』が受賞した。
最後まで、作品賞を争ったのが、『1917』『アイリッシュマン』と言われている。
結果は、周知の通り『パラサイト 半地下の家族』が受賞したのだが、『1917』が決して作品として『パラサイト 半地下の家族』に劣っていたわけではないと思います。
だいいちこの2作品を同じ土俵で優劣を決めるのが、少々乱暴なのではないでしょうか。
言ってみれば、ノミネートされた作品が、クラシック音楽とポップスでその両者を比べてどちらに賞をあげようかと言っている様なものではないでしょうか。
又は、ノーベル物理学賞と文学賞それぞれの候補から一つだけノーベル賞を選ぼうと言っていると言い過ぎかもしてませんが、今回の両作品は質が違いすぎる様に思えてなりません。
公開作品と言う条件だけで選ぶのですから、しょうがないと言えばしょうがないのですが。
まあ、2020年アカデミー賞は、良作がそろったという事かも。
『アイリッシュマン』にも作品賞あげたかったし。
そういう意味では、『1917』も見応えのある作品でした。
戦争という残酷な場面においてもなおその美しさを感じてしまう西部戦線の戦場
ベルギー南部からフランス北東部にかけての西部戦線、映画『1917』の舞台である。
作品のなかで、殺戮が行われる場面においても、その自然風景は、あまりにも美しい。
人間の所業をあざ笑うかのようだ。
桜の花びらが散る様子が、作品中で効果的に使われている。
なぜ、こうもこの作品は、私の中にヨーロッパの美しい風景を焼き付けるのだろう。
その撮影方法にもヒントがありそうだ。
全編ワンカット撮影で撮られた作品。
いままで、映画を見る時に、意識はしてこなかった、ワンカット撮影(長回し)。
“長回し(ながまわし)は、カットせずに長い間カメラを回し続ける映画の技法。” (フリー百科事典『Wikipedia』より引用)
どのくらい長くカメラを回せば長回しという定義はないようですが、分単位で連続していれば、そのように言っていいようです。
つまり、カットなしでできるだけ長くカメラを回し続ける撮影方法のようである。
全編ワンカットというのは、不可能に近いような気もするが、できる限り途切れることなくつなげてゆくことの様です。
そこから生まれる効果は、” 役者の緊張感や映像の臨場感を維持し続けることができるという効果がある。 “(フリー百科事典『Wikipedia』より引用)
という事なので、本作品の持つ特徴はまさにそれに尽きるような気がするのですが。
これでもう一つ映画を鑑賞する時の楽しみというか、一つの視点が増えたような気がします。
まさに、ワンカット撮影の特徴を存分に生かし切って撮られた『1917』は、十分見る者一人一人にそれぞれ違った、あるいは同じ感動というか、本を読んだ後に残る後読感のようなものを残してくれます。
ただ一つ残念なのは、『アイリッシュマン』『パラサイト 半地下の家族』と同じ年に公開されたということでしょうか。
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