2018年米・英合作、監督クラヴィエ・ドランとなっております。
監督が8歳の頃映画『タイタニック』に出演していたレオナルド・デカプリオにファンレターを書いたことをヒントに作られた作品です。
海外では酷評の作品です。
まあ、それも納得かな、が私の感想です。
まず、この作品は、確かに監督の思いでがヒントであるのでしょうが。
このエピソードにかかせないのが、リヴァー・フェニックスの存在です。
1986年米国作『スタンドバイミー』主役少年の親友を演じ一躍その名前を世界にとどろかせた子役です。
その後もスター街道を走りながらも、1993年23歳で麻薬中毒でこの世をさります。
彼の影が本作品中でも色濃く投影されております。
「リバー・フェニックス」が生きていたら、レオナルド・デカプリオはスターになれたかどうか。
と言われるぐらい、デカプリオと同年代のリバーフェニックスは将来を嘱望されておりました。
ただ、彼は麻薬に走ったのはその複雑な生育歴からくるものが大きいと思われます。
両親は、新興宗教の信者で、幼少期は南米を転々とします、いわゆる両親はヒッピーでその子供であるリバーは当時フラワーチルドレンと呼ばれます。
母親はアルコール、父親は薬物中毒、そんな家庭で彼は、4歳にして性的交渉を経験します。
のちにかれの性的嗜好が同姓愛へと向かったことも複雑な家庭環境とともにこの体験も大きくかかわっているのかと考えられます。
そんな家庭環境でありながらも、聡明な彼はひたすら家族を支えようと懸命になります。
それが、オーディションでテレビの子役としてデビューし、「スタンドバイミー」でスターへの階段を登り始めるのです。
要求される、大人としての演技
子役として成功しても、当然大人の役者としての演技が求められるわけで。
そういう意味でも、彼は比較的順調に作品をこなしてゆきます。
そんな彼がなぜ麻薬中毒でこの世を去ってしまったのか。
そのあたりが、本作『ジョン・F・ドノヴァン』と重なって来るのですが。
リバーフェニックスは同姓愛でした、当時もキアヌ・リーヴスとの中は有名でしたし。
ただ、今と当時とでは、ジェンダーにたいする理解は、今ほど進んでいたわけではなく。
公然の秘密という形をとらざるおえないというか、異性愛者を演じなければならない葛藤もあったはずです。
常によい子を演じてきたリバー
リバーフェニックスは子供の頃から聡明な子供でした。
出演作においても演出者の意図を読み取り、望む演技が出来る子供でした。
アメリカの男の子の子役に求められるのは、こんな息子が自分の子供だったらという演技ができるかどうかです。
そういう意味では、彼の子役時代は、それを完璧にこなしてます。
ただ、彼の悲劇は、その理想の息子像を自分そのものととらえようとしたところです。
となると同性愛である自分も許せないし、自分をより理想に近づけようとします。
そこに、無理があったんでしょうね。
本当の自分と理想の自分、自分に完璧を求めすぎた、良い子でいなければという呪縛に最後まで囚われていたのですね。
本作品は、残念ながら個人的思考の強い作品と言わざる負えない
本作品は、リバーへの思いもあったのかなと思える場面もありますが。
残念ながら、個人的思いをもっと普遍的なものにかえる工夫が必要だと思うのですが。
最初から製作者にそんな思いはなかったのかも知れませんが。
せめて、エンディングロールに「リバーフェニックスに捧ぐ」とでも入れれば少しは良かったと思うのですが。
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