2020年公開のドキュメンタリー
宇崎竜童にその才能を見出され、1974年にデビュー。
その人気はカルト的で、大島渚、ちあきなおみ、中上健次など熱狂的ファンはいるものの、決して大衆うけせずに今日までいたっている。
唯一、ちあきなおみに提供した「夜へ急ぐ人」を1977年紅白歌合戦でちあきが歌って、大きな反響を呼んだことぐらいか。
そんな彼(1950年生まれ、今年2020年70歳)の日常をカメラは追ってゆく。
川崎の古びたアパートに一人住み、毎日はぼ競輪に明け暮れる、競輪の合間にライブ活動や、創作、絵画などする感じである。
人生のはかなさこそが彼の出発点か?
昼間は、ほぼ競輪場、夜はレースの予想、その合間に創作活動。
競輪場にたたずむ友川カズキの姿からは孤独感が漂ってくる。
まさに孤独をごまかしながら人生を送っている様なたたずまいとも言えるし、そうでないとも。
生きるということは、孤独を何かでごまかし、紛らわせながらやっているにすぎない。
人生のはかなさとでもいうか、それを確認するかの如く友川カズキは競輪場にたたずむ。
決してギャンブルに入れ込んで、自己破滅型でも無頼漢でもない。
買う車券は大穴ばかり、当たらないことの方が俄然多い。
でも、友川カズキは車券を買い続ける。
不思議な人だ。
映像にはない友川カズキもいるはず
全てを、画像にさらけ出したわけではない。
あまり、家族のことには触れられていない。
青森にいる成人した息子二人がでてくるが、友川カズキとの会話は、普通の家族。
家族を青森に残し川崎のアパートで独り暮らし。
家族を養い父親としての役目をする友川カズキもいるのだろうが、映像には出てこない。
意外と良き父なのかもしれない。
どこへ出しても恥ずかしい人
それを友川カズキ氏が演じてるとしたらたいしたものだ。
どこへ出しても恥ずかしい人でない人がこの世に存在するだろうか。
私も、どこへ出しても恥ずかしい人の一人だ。
その方が生きてゆくのが楽でいいよ、と教えてあげたい。
友川カズキは、そんな事を言いたいのではないでしょうか。
アーティストですから、私生活はともかく彼の作品を堪能しよう。
その後で、この映画をもう一度見るとまた違った感想が湧いてくるかもしれない。
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