拝金主義がなぜ悪い、『シャドウプレイ』でロー・イエは、そんな中国の本音をむき出しにして見せてくれた。さすが、政府の手前悪が成敗される形にはなっているけど、誰もそんなことは信じない。欲望国家のむき出しの生き様を突きつけてくる、目が離せない。
掛け値なしにゾクゾクする作品。
ロー・イエ。
間違いなく、現代中国で乗りに乗った監督。
iQが高く、センス抜群。
今まで感じたことのない興奮を覚えさせてくれる。
1980年代の改革開放政策から2000年代の中国バブルまでを見事に、切って撮った。
不動産取引によって富を蓄える、そのやり口、富に対する飽くなき欲望。
何がすごいかって。
中国という国のエネルギーとその恐ろしさ。
何が、怖いかって。
映画見てると、中国って国は、お金さえあれば、あらゆることが許されてしまうと思えてしまうこと。
本当か嘘か。
死刑がお金で、終身刑に変わってしまうこと、そして何年か後にそれが、30年、10年と減刑されて、結局5年で出てこれる。
そんなことを聞かされてしまう。
となると、この映画のもつ迫力は半端ではない。
まさに、人間の欲、欲。
それが、むき出しになった国家とはどんなものか。
ロー・イエのすごいところは。
暗いところは、暗いままに撮ること。
こちらにわかるように、明るくなどしない。
だから、映像のリアリティーが迫ってくる。
それでいて、ストーリーが読めなくなることがない。
決して時系列で撮られているのではないのに。
なぜか、全体として一つのストーリーとしてつながってゆく。
天才の名をほしいままにする。
ロー・イエは現代中国でどこまで映画を取れるだろう。
この作品でも、日本では、完全版での上演だけど。
本国では、もちろん検閲でカットに次ぐカット。
だとすると、この監督は、中国本土でどこまで今後作品が作れるのだろう。
そんなことを心配してしまう。
政府の主要メンバーは、その多くが、海外に資産を多く持ち。
中には、アメリカ市民権まで持っている者もいる。
つまり、いつでも逃げ出せるようにしているのだ。
そんな、政権の要人がリードする国家。
実に不思議な国であるし、巨大な国でもある。
そんな、現代中国を理解するのには、ロー・イエは、欠かせない。
とにかく、中国という国は、パワフルで欲望渦巻き。
とても善悪なんて価値基準では測れない、興味が尽きない。
だが、決して住みたいとは思わない。
映画『シャドウプレイ』公式サイト:https://www.uplink.co.jp/shadowplay/index.html
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