絡み合った悪の糸
物語は144分にわたって繰り広げられます。
映画としては長い作品ですが。
これだけ人間の性というか、罪の重なり合いを描くのには、時間がかかるのだろうかと。
それだけ、丁寧に丹念に描かれております。
絡み合った悪の糸、おおよそ3本の糸であろうか。
作品は、まずその絡み合った糸をほぐすところから始まります。
そして、ばらばらになったその糸を一つの出来事に束ねてゆく作業を延々と描いています。
あまりにも絡み合いの度合いが複雑で、よく見ていないと解らなくなってしまいそうですが。
人間の原罪
まさに、そんなことを感じさせてくれます。
つまり、生きていること自体が罪であるかと言わんんばかりに。
韓国映画は、こういった作品が得意である。
おおよそ、日本では作られることはないだろうと言えそうな。
それだけ、日本が平和なのか、韓国社会が複雑な要素を抱えているのか。
作品の中でも中国からの不法就労者の問題が扱われていましたが。
日本でも、同様の問題があると思いますが、作品として取り上げる監督が出てこないのが残念です。
しかし、韓国映画は人間の罪というものと正面から向き合う作品が多いですね。
それも秀逸な作品が多いです。
これも、韓国映画のパワーとでも言いましょうか。
ソル・ギョングの確かな演技
2000年の『ペパーミント・キャンディー』の演技が忘れられないですね。
まさに、韓国映画の金字塔ともいえる作品で、見事な演技を披露してくれました。
その彼が、本作でも被害者の父親の複雑な心理を見事に演じております。
加害者の父親役のハン・ソッキュも悲しくも罪を重ねて行く姿を描き出しております。
確かな俳優陣そして、マーチン・スコセッシ絶賛の本作の監督イ・スジンも特筆されるべきでしょう。
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