『少年の君』中国一般公開の作品としては、制約を受けながらも秀逸

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現政権下で良くここまで描けたと感心する『少年の君』、現代中国の学歴偏重社会が生み出す悲劇と殺伐とした青少年の心。日本とて、もはや夢を持ちずらい社会ではあるが、どこかやるせなさばかりが残る。

中国における受験戦争の過酷さ

それは、日本の比ではない

どこの大学を出るかで、その後の収入に大きな差がでてしまう。

その弊害はあまりにも露骨だ。

かといって、一流大学を出たからと言って、必ずしも安泰とは限らないのが現在の中国の現状

しかし、その権利をえるためには、なんとしても高学歴が必須の条件となる

中国では、長らく一人っ子政策をとってきたため、一人の子にかける教育費は高額になっている。

当然の結果と言えばそうなのだが、この政策ははたして正解だったのかというと。

大いに疑問の残るところである。

現在、中国政府は三人目までの出産を認めているが。

子供ひとりにかかる教育費を考えると、政府の思惑通りに出生率は伸びない

それに反比例するかのように進む、超高齢化社会

一人っ子政策が、さらにこれに加速を加えた結果、恐ろしいまでの人口構成比のいびつが起きている

中国が、現在世界経済では勝ち組ではあるが、その地位が今後も続くかは疑問の余地が残る。

そんな、中国の受験戦争世代を描いた『少年の君』

現代中国の制約の中で、ここまでよく描いた。

率直な感想です。

過酷な受験戦争「高考」

その中での、過酷な競争が生む、高校生活の実態

そして、陰湿なイジメ。

現代中国の暗部を一般公開映画でよく描けたと感心する

ただ、惜しむらくは、エンディングロールで中国政府は、イジメ問題に真剣に取り組んでいる云々が流れる。

現政権下では、致し方ないのでしょうが、作品の出来が秀逸なだけに、少々興ざめしてしまうのも事実。

あまりにも、学歴社会偏重から、「寝そべる子供と言われる、競争からドロップアウトする子供の増加。

高校進学率が、50%ということがもたらす意味

日本とていかがなものか、大学を出てももはや希望の就職がかなわぬ時代。

それでいて、新卒就職で決まってしまう人生。

人生のやり直しのきかない、社会システム。

日本社会の労働環境も、もう少し柔軟性が欲しいと常々おもう。

しかし、中国の現状に比べたらまだましなのだろう

そんな、現代中国の少年少女達の凄まじい現実が垣間見れる良作

映画『少年の君』公式サイトhttps://klockworx-asia.com/betterdays/

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