1960年代アメリカは人種差別問題が大きな社会問題としてクローズアップされた時代。作家であり同時代の証人ジェイムス・ポールドウィンの原稿を基に当時を振り返ったドキュメンタリー映画。人種差別の根源的問題は何処にあるのか改めて考えさせられます。
1960年代、米国公民権運動の時代。
2016年米国製作のドキュメンタリー映画です。
アメリカの小説家、劇作家、詩人でもあり公民権運動家でもあった黒人のジェイムス・ボールドウィンの未完成原稿を基にした作品です。
主に、1960年代のポールドウィンの言動の映像を中心に当時のアメリカの人種差別問題を取り上げております。
当時の公民権運動の指導者たちメドガー・エバース、マルコムX、マーティン・ルーサー・キングについて語っております。
三人とも60年代に暗殺されるのですが。
三人と同時代を生き交遊関係もあったポールドウィンは、問題の本質から目をそらさない言動が印象的です。
1960年代、人種対立は沸点に達していた。
信仰的理想国家建設の目的でアメリカ大陸に押し寄せた白人達。
彼らが、まずやった事は先住民族から土地を取り上げること。
そして、一部は西部に向かい更に領土を搾取していったこと。
また、一部は南部で農業巨大プランテーションを展開し富を築いたこと。
その為の労働力として、アフリカから黒人を連れてきて奴隷として労働力としたこと。
こう書くと、白人は何一ついいことはしていないように思えてしまいますが。
ポールドウィンが言うように、この原点を忘れては、問題の本質は見えてこないということです。
1960年代というのは、工業化が進み、南部農業プランテーションで機械化により余った労働力が都市部に大量に流れ込んで来た時代です。
そこで、都市部では、白人と農村部から流れ込んできた黒人労働者の間で、摩擦が生まれ、それが最高潮に達した時期です。
そして、黒人達の公民権運動の高まり、相反するような黒人差別の激化。
その結果が、先にも述べた黒人指導者の暗殺という悲劇の時代でもあります。
ポールドウィンは、この時代を延々と語ります。
2020年アメリカは、変わったのか。
激動の60年代からもうすでに、60年が過ぎようとしています。
アメリカは、変わったのでしょうか、人種差別は。
たしかに、2009年にオバマが黒人初の大統領になり、近年黒人の生活レベルは向上したといわれております。
そのぶん白人の生活レベルは下がったとも。
では、差別は、無くなったのかといえば、答えはノーです。
なぜ、ポールドウィンは言います。
先にも述べたように、この国の成り立ちに目を向けないかぎり、問題の解決はありえないと。
その、根元的問題を映画化した作品があります。
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1800年代ですが、当時の南部農業プランテーションでの黒人がどう扱われてきたのか、良く解ります。
信仰的理想国家を目指した、彼らがまず始めにやったことに目を背け続けるかぎり、人種差別の根元的解決は、ありえないというポールドウィンの指摘があらためて心に響いてきます。
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