映画『アーニャは、きっと来る』、美しい南仏を舞台にした静かなる反戦映画です。牧童の主人公の活躍が画面に躍動感をくれます。牧羊を営む村人の生活が丹念に織り込まれており、あまりにも忙しくなりすぎた現代人にとっては、ふと考えさせられる作品です。
あまりにも美しい南仏の自然
そこに戦争というキーワードがなければ、何と平和で美しい映像だろうと、画面に酔いしれてしまいます。
舞台は、スペインと国境を接した南仏の村。
ユダヤ人の子供達をかくまって、スペインに逃がそうとする村人とそこで活躍する少年の物語です。
村に駐留するドイツ軍、彼らがいなければ戦争とは無縁の様なのどかな村。
駐留するドイツ軍すら、決して高圧的ではなく、村人ともある距離は保ちながらも何となく上手くやっている様子です。
村人にしてみれば、協力している振りだけで、心の中ではあくまでも敵国なんですが。
そんな、戦下ではあるんですが、何処かノンビリした村の生活とのギャップがなおさら浮き立ちます。
静かなる反戦映画と言ったところでしょうか。
ただ、南仏が舞台の作品なのに、セリフが英語なのが違和感があるのですが。
あまりにも忙しくなりすぎた現代人
映画の主題とは、関係ないのですが、ふとそんな事が頭をよぎる作品です。
牧羊で成り立つ村。
それも1940年代半ばのお話ですから、現代と比べるのは酷かとも思えるのですが。
実に、ノンビリした村人の生活です。
ノンビリ見えるだけで、仕事はきついのでしょうが。
現実は、貧しい村かもしれないですし、子供が労働力としてあつかわれるのは、現代ではあまり考えられないのですし。
しかし、豊かな自然に囲まれて、本来人間が生きて行く速度に適した生活リズム。
そんな事を画面から感じ取ってしまいます。
だからといって、便利さを捨てて映画の時代のような生活リズムに戻れるわけもないのですが。
便利になればなるほど、更にもっとと言う悪循環に陥ってることも確かで。
自戒も含めて、この辺りで立ち止まって。
現在のあり様を振り返ってみるのもよいのでは。
ただそうすると、一人だけ社会から取り残されてしまうのでしょうか。
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