先が見えない時、人は閉塞感を感じる。それは、今も昔も変わらぬこと。しかし、それを映画作品として表現するのは、難しい。柳田光男監督の1979年作品『十九歳の地図』は、見事に描いている。なぜか、現代の私達の境遇に妙にマッチする。
コロナ禍の今の時代に通じる
製作は、1979年。
主人公は、新聞配達をしながら予備校生活を送る浪人生。
尾崎豊は、この作品を見てアルバム『十七歳の地図』を製作したとされます。
ただ、尾崎の作品は、音楽作品の中に青春の鬱屈が昇華されているのですが。
本家、映画作品のほうは、かなり鬱屈した少年の心情がストレートに描かれています。
いまだ、社会の中で自分の立ち位置が定まらない浪人生。
毎日の新聞配達。
そこで、彼が接する社会とは。
相手が文句を言えない立場だと、嵩に懸かる人々。
そう、新聞配達とは、そんな人たちの格好の標的にされる職業で。
時として、自分の将来に確固たる夢が描けなくなると。
ただ、閉塞感の中でもがくだけで。
そんな主人公の心を、作家中上健次が描き出した原作。
捻じれた自尊心から、不満を持つ配達先にいたずら電話を掛ける日々。
そう、主人公はどう生きてゆけばよいかわからない。
新聞配達で下宿。
そこに、働く嘆かわしいほどみじめな中年男。
そして、彼の付き合う落ちぶれた娼婦。
現代の閉塞感。
コロナで先の見えない時代。
非正規雇用が50%を超える現代。
日々を生きる若者は、何を考えているのだろう。
非正規であり続ければ、将来の設計などどう描けば。
いくつになっても、給料は上がらないわけで。
そう、そんな現代に妙にこの作品はマッチしてしまう。
新宿K’s cinemaにて、12/4よりロードショー:https://www.ks-cinema.com/movie/19sainochizu/
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