国立映画アーカイブで今年から始まった企画、週末金土日に所蔵コレクションからのセレクション、毎週ではないので期間は要注意ですが、日本映画黄金期の名作にスクリーンでおめにかかれるのは嬉しい限り。今回は成瀬巳喜男の作品から『妻として女として』。
週末金土日だけの企画
国立映画アーカイブで今年から始まった企画。
所蔵コレクションから週末にある上映。
スケジュールは公式サイト:https://www.nfaj.go.jp/exhibition/nfaj-autumn202110/#section1-1でお確かめください。
手軽に、低料金で名画が週末に見られるのは嬉しいですね。
こんな企画は、どんどんやってほしいもの。
特に、日本映画の黄金期は、名作の宝庫。
それをあらためてスクリーンで見られるわけですから。
今回は成瀬巳喜男監督『妻として女として』
黒澤明や小津安二郎ほど有名ではないですが、日本映画界では、外せない監督。
成瀬巳喜男監督の特徴は、その生活感あふれる作品でしょうか。
後のテレビのホームドラマと言われる作品群の原型とでもいえばいいでしょうか。
男と女、妻と夫、そしてそれぞれの家庭。
成瀬の特徴は、とにかく金の話が出てくる。
人間行き着くところ、愛情のもつれを清算するのは金と言わんばかりに。
金の話が、細かく嫌と言うほどで出てまいります。
それが、なんとも作品に、現実感と真実味をもたらします。
そのあたりが、ホームドラマの原型と言えるのか。
男女のありようも時代とともに変化
『妻として女として』は、大学教授の妻と二号さんとの確執の話、
二号さんいわゆるお妾さんですが、この言い方も古いですね。
今でいうと、愛人ということでしょうか。
大学教授と妻の間には、子供はいません。
大学教授は、外に二号(お妾)さんを作り、銀座で、BARをさせています。
そのお妾さんとの間には、子供がふたりおり。
その子供を引き取り、本妻との子供として、育てております。
つまり、お妾さんは妻公認というわけ。
現代だと女性の地位というか権利が確立しかけていますから。
映画のように、妾(二号)としての立場をわきまえて。
そんな感情は、いまは中々理解できないかと。
そして、そんな立場を清算しようとするとき。
成瀬お得意の金の話になるわけです。
この辺が、妙に入り細に入り描かれて。
成瀬節全開でしょうか。
本妻、二号、妾、なんていう言葉も概念もあった時代。
いまなら、そんなあいまいな立場は通用しないというか。
いまさらながら、懐かしさがこみあげてくる作品です。
1961年製作、監督成瀬巳喜男、参考文献:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A6%BB%E3%81%A8%E3%81%97%E3%81%A6%E5%A5%B3%E3%81%A8%E3%81%97%E3%81%A6
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