『福田村事件』都合のいいように変えられる、都合の悪い過去を消し去る

映画『福田村事件』ポスター 映画館

まさに、人間の愚かさが凝縮したかのような映画『福田村事件』。出来事は、関東大震災の大正期だけど、いまだってたいしてかわらない。人間の本質なんて今も昔も同じだ。だから、同じ過ちを繰り返さないためには、過去の出来事の正しい認識が必要となる。

関東大震災の人災

それは、1923年の関東大震災後に起きた

いわゆるデマがゆきかい、人々の不安を煽った。

社会主義者や朝鮮人、あるいは不定の輩が、混乱に乗じて井戸に毒を入れたとか、乱暴をはたらいたとか。

なぜ、マスコミがこんなデマを流したのかが大事だ。

真相が、今の時代に正確に伝えられているとは思えない。

映画は、そんなデマに振り回される千葉県東葛飾郡福田村の出来事。

この事件の顛末を、映画は、丁寧に描いてゆく。

漁師

デマが、本当のことになってゆく

そんな過程が、怖い。

疑えばきりがないのに。

ある方向に集団が向いてしまうと、修正がきかなくなる。

その過程が、おそろしい。

時代背景の要因も大きい。

富国強兵からはじまる、軍国主義国家日本

そして、大正時代にはいり、自由を謳歌する大正デモクラシー

社会主義の台頭。

これらを手動するのは、インテリ層。

当然おもしろくないのは、農民層と取り残された人たち。

政府の政策の失敗からくすぶる市民の不満。

市民の対立を上手く利用したのが、政府とそれに加担したマスコミ

一度言い出すとあとに引けない怖さ

そんな、関東大震災とその後の動乱を凝縮したのが、『福田村事件

嘘も、100回言い続ければ、真実になる。

そんな人間の怖さが、よく出ている。

一度言い出したことを訂正できない、修正できない変なプライド。

なんなんだろうこれって。

軍国主義国家のいびつな倫理観が、アチラコチラに出てくる。

怖い話だ。

今の時代は、大丈夫なのか

これもあやしい。

東京都知事などは、関東大震災の慰霊に書簡を送るのをやめた。

もう、この日本人に都合の悪い出来事を消し去りたい勢力がいる

政府の閣僚にも。

これが、今の日本社会の一つの流れになっているのが、怖い。

そうではないはずだ。

過去の過ちをちゃんと正確に認識することが大事だ。

さらに、事実を歪曲するのでなく、事実を事実として認識する。

でないと、同じことの繰り返しだ。

人間の愚かさだけで済む問題ではない

映画『福田村事件』公式サイト:https://www.fukudamura1923.jp/

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