1997年に中国返還まで、150年間英国領であった香港。その香港映画を一躍有名にしたのは、ブルース・リー。そんな、香港映画の歴史をたどれる上映会が国立アーカイブスで組まれております。香港映画のたどった軌跡と現在の香港をあらためて考えさせられます。
150年間イギリス領という特殊事情
1997年に中国に返還されるまで、150年間にわたり英国領でした。
日本で、その映画の存在が認知されたのは、1970年代のブルース・リーの『燃えよドラゴン』でしょうか。
中国でありながら、長らく英国領であったことが、特徴的な作品群を生んでいます。
いわゆる、共産圏ではなく、民主主義国家であったわけで。
その自由な空気の生む作品。
世界一、一人当たりの所得の高い国。
世界一、所得格差の大きな国。
狭い地域に所狭しと並ぶ摩天楼の街並み。
どれをとっても、特異な国家なのですが。
そんな、特殊事情が生み出す作品を堪能してみましょう。
『ポリス・ストーリー香港国際警察』
言わずと知れた、ジャッキー・チェン主演のヒット作。
それまで、復讐劇を中心とした、どちらかと言うと暗いイメージの香港映画の中で、コメディタッチのカンフー映画で、一躍スターになったジャッキー・チェン。
なんといっても、彼の作品の魅力は、アクションとスタント。
今の時代の様に、CGによる映像製作の無かった時代。
まさに、命がけのスタント。
そんな、緊張感の伝わってくる作品です。
1985年監督、脚本、主演と大活躍のジャッキー・チェン。
後に、シリーズ化もされた刑事アクションの代表作。
まさに、香港映画の金字塔とも言える作品。
上映会では、珍しく終映と共に拍手が起こっておりました。
中国政府を擁護するジャッキー・チェン
ジャッキー・チェンの父は、中国国民党のスパイであり、国共内戦のおり香港に逃れてきたという過去を背負っています。
そんな、彼ですが、香港返還後は一貫して中国政府を支持2020年「国家安全法」の導入にも、2000人を超える香港芸能関係者と連名で支持を表明しております。
中国政府による香港締め付けの強くなる昨今。
彼の自らの立場を明確にしているのは、生きてゆくための知恵なのでしょうか、本心なのでしょうか。
どちらにせよ、自らの立場を明確にしないと生きてゆけない社会の厳しさを感じます。
とにかく、歴史の中で翻弄された香港。
その香港映画がかつて放っていた、独自な色合いを楽しんでみるのも一興。
国立アーカイブス「香港映画発展史研究」:https://www.nfaj.go.jp/exhibition/hongkong202112/#section1-1
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