イギリス映画には庶民を描いた秀作が多い。その系譜を期待して『エンパイア・オブ・ライト』を見たのですが、力が入った作品であることはわかるのですが、もう一つ深堀してほしかった。なんとなく上滑りをして終わってしまっているように思えてならないのですが。
1980年代イギリスの海岸沿いの映画館
この映画館は、実在のようで、『炎のランナー』のプレミア上映をした劇場。
劇場にも味があって、物語の舞台としては文句なし。
ただ、舞台が揃いすぎて、上手く料理できなかった感。
主人公は、その劇場で働く40代の女性。
彼女は、統合失調症をわずらっている。
その彼女とそこで働くスタッフの物語。
いわゆる非正規でしょうか。
労働内容からして、そんな雰囲気が。
そこに現れる黒人青年。
その青年と主人公との恋物語なんですが。
登場人物は、それなりに揃っているんですが。
主人公も含めて、演技力はしっかりした人たち。
逆にそれが、あだになったか。
どう上手いでしょうと、少々押し付けがましいところが。
主人公が、一体どんな歴史を持っているのかもはっきりせず、いまいち理解が深まらない。
青年との恋物語も深みが足りなく、その他の性的描写もいただけない。
黒人青年に対する差別も取ってつけた感じで、自然ではない。
この時代には、確かに問題にはなっていたようですが。
材料が揃いすぎているのも、上手くゆかないようですね。
これが、私の感想。
イギリスの庶民を描き、細かい人間の心のひだを感じさせる。
そんな作品を期待したのですが。
意外と大味なデキに終わってしまってるのが、残念です。
映画『エンパイア・オブ・ライト』公式サイト:https://www.searchlightpictures.jp/movies/empireoflight
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