ーネタバレを含みますー
映画『ラム』、実に不思議な映画である、アイスランド山麓の広大な土地と数少ない登場人物と白夜が、いままで経験したことのない空間を再現している。そして、そこでの不思議な出来事、まさかと思いつつもあってもおかしくないかなと思わせる作品。
子供をなくした夫婦に奇妙な贈り物。
アイスランドの広大な山麓で羊を飼う夫婦。
子供は、亡くなってしまって夫婦二人の生活。
白夜と淡々とした日々の流れが、妙なハーモニーを奏でている。
そこに、羊の子供「ラム」が生まれる。
彼らは、その子羊に「アダ」と名付け、自らの子供として育てる。
そう、半分人間、半分羊という異形。
じつに、奇怪なお話なんですが。
アイスランドの雄大な風景と、白夜。
数少ない登場人物が、独特の世界を醸し出している。
この異形が、羊であることから、聖書解釈と結びつけることも可能かとも。
でも、私は、もっと世俗的考えを抱いてしまう。
羊飼いの生活に見るダブー「獣姦」
ずばり、これをイメージしてしまう。
羊飼いは、羊とともに何ヶ月も孤独な生活を山で送る。
その中で、ごく当たり前に「獣姦」という風習が。
人間の営みとしては、異型なんですが、欲望の処理は当然あるわけで。
こんな、タブーが、映画を見てるとふつふつと湧いてくるわけで。
そう、羊と人間との間の子、そんな存在が、神話として語り継がれていてもおかしくないなと。
そんな、世俗的解釈で、作品を見ていると、いろんな出来事が、説明可能になるのですが。
作者は、そのあたりは、なんにも語っていません。
もちろん、作品を見た人が、自由に発想を巡らすことで、作品を楽しめますので。
それらの自由な発想を可能にしているのが。
舞台の設定と、確かな俳優陣、何よりもアイスランドの広大な自然と白夜という怪しさ。
これらを見事に映像として、なんとも言えない、いかようにも捉えられる作品に仕上げているのが、この作品が成功している要素だと。
映画『ラム』:公式サイトhttps://klockworx-v.com/lamb/



コメント