『七人楽隊』もうもどってこない自由な空気の香港、魅力的な街だった

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過ぎ去った時間、もう戻れない時代。『七人楽隊』香港を代表する七人の監督による返還前の香港のオムニバアス作品。失った時を愛おしむ心で溢れている、かつての人間らしい生活をしていた頃を思い出すのも悪くない。

中国化で失われた、東洋の魅惑都市

イギリス領香港の時代の1970年代〜2000年代に中国に返還されるまでの、市井の庶民の風景を七人の監督が七話に収めた作品。

もうもどれない、自由な空気に満ちた香港に対する郷愁であふれた作品。

アジアの中でも、中国でもなく、イギリスでもなく、それでいて住民は漢民族。

だけど、本土の中国人のようにせわしなくない。

まだどこか、こころにゆとりを兼ね備えてる香港人。

そんな、香港人が多数でてくる。

いち早く結論をもとめる、本土の中国人の厚かましさはそこにはない。

同じ漢民族かと思ってしまうのだけど。

かと言って、西洋ほど洗礼されているわけでもなく。

そこは、なんといっても所詮アジア。

逆にその東洋ののどかさ、人間の自然な営み。

趣き深い作品。

やがて時代が変わり、中国化してゆく過程

その入り口で、この作品は終わる。

IT化や生活習慣の変化が、香港の姿を変えてゆく。

そこに、中国への返還。

もはや、かつての香港の姿はそこにはない。

もう取り戻すことさえ難しいだろう。

西洋に近くて、西洋ではなくアジアの片隅で異彩を放っていた香港。

作品を見ると、まさにその時代への郷愁でしかない。

愛おしい時代、これは、現代日本でも言えることだけど。

もう戻ることはできない、現代を生きるしかないのです。

でも、時代に合わせて自分を変えることはない。

生活のために時代には合わせているが、心は、ある時代の心意気を捨ててはいない。

『七人楽隊』公式サイト:https://septet-movie.musashino-k.jp/

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