スターリン体制下のソヴィエトの秘密都市を描いた『DAU. ナターシャ』。その製作方法は、かなり凝っていて、当時の全体主義国家の断面を垣間見ることの出来る作品です。あまりにも淡々として物語としての盛り上がりを期待する方には、肩透かしを食らった感じがします。
『DAU. ナターシャ』
渋谷のシアターイメージフォーラムって、変わった作品が多いですよね。
まあ、私も変わってるので。
しかし、2020年/ドイツ・ウクライナ・イギリス・ロシア合作/136分/R18+/『DAU. ナターシャ』って作品ですが。
実験的作品とでもいますか。
その制作方法がかわっています。
映画の時代背景は、スターリン時代のソヴィエト連邦。
撮影は、スターリン時代のままに再現された秘密都市で、約2年間にわたって実際に生活して、その中でいたるところにカメラを据えて、撮影されたということ。
町の中では、ソ連時代の通貨が使われ、出演者もスタッフも当時の衣装や食事で生活。
毎日当時の日付の新聞が届けられるという徹底ぶりです。
スターリン体制下のソヴィエト
まさに、それを映画を通して観客は体験するわけですが。
前半は、特に延々と食堂で働くウエイトレス、ナターシャの日常が描かれているだけで。
かなり過激な、性的描写はあるものの。
これと言った物語の展開もなく。
このまま、作品は終わってしまうのかなと思っていると。
後半に、スターリン下の恐怖政治の片鱗が現れます。
しかし、それも前半と同じトーンで描かれると言いますか。
映画として、劇的効果を高める描き方はされません。
あくまで残酷な場面も、まるで日常の一コマの様に。
撮影時間は700時間にも及ぶ第一弾
というふれ込みですから。
こらから第二弾、三弾と発表されて行くのでしょうか。
そうだとすると、今回の作品は、膨大な物語のプロローグであると。
そうであれば、どこか食い足りない作品も納得はするのですが。
今後の展開を見て見たいと思いますが。
かなり、実験的作品ですから。
ただ、物語の抑揚を余りつけず、人々の日常を淡々と映す手法に終始するのであれば。
今回の作品も含めて、好みの分かれるところではないでしょうか。

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