韓国映画の最近の傾向。
方や韓流に代表される恋愛物もあれば、今回取り上げる2作品の様な娯楽作品とでも言ったらいいのだろうか、2つの大きな流れがあるように思います。
日本に紹介される作品が限られているのか、いささかジャンルが少ないように感じます。
韓国社会は日本で考えるほど単純ではないと考えられます。
いまだに分断されている国家、さらにその中でも地域間による対立。
富の再配分がうまく行かず、広がるばかりの格差社会。
大学を卒業しても、満足な職につけない現実。
社会に蔓延する賄賂の横行。
あげたらきりがないのですが、逆にそれらが映画としての題材を多く提供してるのも事実です。
ストーリーの行き過ぎは、劇画調になってしまう。
映画をより面白くしようとするあまり、最近の韓国映画にはこの傾向が強いのでは。
『悪魔に育てられた少年』は2013年作で、『コクソン』は2019年作です。
どちらも、現実からかなりかけはなれた描きかたがされています。
『悪魔に育てられた少年』は、少年を育てる悪魔が善人過ぎると言うか、悪魔にしては、少年に対しては普通の親以上に親らしいところに違和感を覚えてしまいます。
『コクソン』は、国民の約3割がクリスチャンの国家で、さらにキリスト教が禁ずる祈祷師が庶民の生活にも深く関わっている、複雑さを浮き彫りにしてますが。
今一つ消化不良の感は否めません。
それよりも、作品をより面白しようとする製作者サイドの思惑が、ストーリーを複雑に、さらに現実ばなれしたものにしてしまっているのは、残念です。
『パラサイト 半地下家族』で、この手の手法は頂点なのでは。
社会的問題を描きつつ重たくならず、エンターテイメントとして楽しめる作品が、韓国映画の大きな流れなら、『パラサイト 半地下家族』のアカデミー賞受賞で、頂点に達した感があります。
今後は、同じことを続けても、飽きられるだけの様なきがします。
そういう意味では、韓国映画のアカデミー賞受賞で、分岐点に来てるのではないでしょうか。
更なる違った展開を待ち望むところです。
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