高度成長期の集大成を迎え爛熟した経済期の1980年代の日本、今その時代の作品を集めて、国立アーカイブスで特集上映をしております。今回とりあげるのは『爆裂都市』とにかくエネルギーとマグマを秘めた熱い「カオス」で描かれる近未来。まさに疾走する作品です。
『1980年代日本映画ー試行と新生』
京橋の国立アーカイブスで2021/02/16~2021/05/05まで開催されております。https://www.nfaj.go.jp/exhibition/japanese1980s202101/
今回は、その中から03/11に上映された1982年作監督:石井聰亙の『爆裂都市』の紹介です。
作品は、近未来都市を舞台に荒廃した快楽と暴力にあふれた映像が、過激なロックのビートに乗って116分を駆け抜けます。
3/11日の上映会だったからでしょうか、作品の中に原子力発電所を建設する利権争いで暴力団が暴れ、不満が爆発する強制労働者が出てまいります。
まあ、話の筋よりもとにかく爆音とロックのビート。
陣内孝則(ザ・ロッカーズ)、大江真也(ザ・ルースターズ)、ザ・スターリン、コント赤信号、麿赤児、戸井十月、上田馬之助、泉谷しげる。
当時、癖のある出演者による、ニューウエーブパンク映画でしょか。
好みが分かれるのか、途中で席を立つ人も
そんな映画です。
話の筋は、あるのでしょうが、それを丹念に描くわけでもなく。
画面には、溢れんばかりのエネルギーを叩きつける場面の連続。
ある意味単調ともいえるのですが、やはりそこには、近未来を描きながらも80年代というキーワードが横たわっております。
熱い「カオス」でしょうか、そこにあるのは。
1980年代を総括する今回の企画の中では、避けて通れない時代の産物とでも言えばいいのでしょうか。
1980年代という時代
経済的にはバブル前の好調期だったと。
日本経済も元気でしたね。
街には、エネルギーがあったし。
私なんか、経済の好調さと自分を勝手に同調させて浮かれていた記憶があります。
しかし、光があれば影もあり、そのあたり繁栄から取り残された者の「マグマ」と言うべきものがこの映画には溢れています。
繁栄と栄光、不満と凋落。
そんなモザイクが描かれた時代でしょうか。
荒れる中学校が問題になったのもこのころですね。
大人になる通過点、大人にもなれず子供にも戻れないそんなもどかしさが爆発した時代でしょうか。
その時の彼らの代弁者が「尾崎豊」でした。
『卒業』で彼が歌った、「夜の校舎窓ガラス壊して回った」。
今も昔も少年達は変らないはず。
今の、現状はどうなんでしょうか。
学校は今どうなってるのでしょうか。
見えてこないですね。
エネルギーの爆発はあるのでしょうか
非正規労働者が半数近くを占める現代。
夢が見れない時代になってしまいました。
大学出がそれほど恵まれた条件でなくなってしまった現代。
非正規である以上年収は、300万で頭打ち、それもかなり頑張って。
それが、ずっと続くわけで、年齢と共に上がるわけでもなく。
結婚して家庭をどう築いたらいいのか。
2019年に同一労働同一賃金が施行されるはずだったのが、コロナで飛んでしまった。
世の中の労働者の多くは、非正規と名ばかり正社員の時代。
今は、コロナ禍でとりあえず大人しくするしかないですが。
もうこんな生活が一年も続いて、二年目に突入してます。
まだ、出口も見えていないですが。
やがて、コロナ問題が終息を迎える時は、一時的にしろ消費の拡大、爆発があるかと。
いままで我慢してきた分が噴き出すと。
問題は、その後ですね、どんな社会が出現して、私達は、目標をもって進むことが出来るのか。
経済は低迷したままなのか、初めての経験したことのない時代に突入したことは、まちがいないようです。
現在『爆裂都市』はYou Tubeにて公開中https://www.youtube.com/watch?v=w172pqqfSuM
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