まだまだ収まりのつきそうにないウクライナ問題。なぜ、ロシアはウクライナに侵攻したのだろうか。ウクライナの映画監督セルゲイ・ロズニツァの描く『ドンバス』を見ると、その答えが見えてくる。そしてそれと同時に深いため息が、戦争に大義などないことが。
ウクライナ出身の異才監督セルゲイ・ロズニツァの描く『ドンバス』
正確には、ベラルーシ生まれのウクライナ育ちの監督。
ドキュメンタリー映画を得意とし、世界各国の映画賞を受賞している、実力派の監督。
特に2019年日本公開の『国葬』は圧巻だった。
独裁者スターリンの葬儀を延々とドキュメントするだけなのだが、みごとにその力の巨大さを描きだしている。
凍てつく大地とそこに暮らす人々、おおよそ人生の楽しみの少なそうな、そんな国情まで、見事に見せてくれる。
そんな広大な地域に君臨した、独裁者スターリン。
そのちからの巨大さを実感させてくれる見事な作品だった。
そんな彼が、2014年のウクライナ東部ドンバスで起きた紛争を映像化した。
18世紀のノヴァロシア

紛争の起源は18世紀までさかのぼる。
当時ロシア帝国が征圧した黒海北岸地域をさす地域名がノヴァロシア(新しいロシアと言う意味)、その後ウクライナに併合されたこの地域に自称国家「ドネツク人民共和国」と「ルガンスク人民共和国」という新ロシア派が国家を樹立する。
プーチンはこの新ロシア派の樹立した自称国家を承認。
そして、この二国における平和維持を目的とした「特別軍事作戦」と称して侵略戦争をおこしているのです。
ほとんど、言いがかり的な侵攻なんですが。
では、その紛争の中心自称国家のあるドンバス地方はどうなっていたのか。
ほとんど無政府状態のドンバス
映画で描かれる2014年のドンバスはまさに無政府状態。
作品は、その当時のドネツクでのエピソードをいくつも羅列して行きます。
一見すると、どちらがロシア側なのか、ウクライナ側なのか最初は良く解らないのですが。
物語が進むにつれて。
ドネツクの無政府状態というものが、実感として伝わってきます。
あくまでもウクライナ側の監督の作品ですがら、ロシア側の反論も当然あるとおもうのですが。
ウクライナ侵攻のやり口やロシア兵の蛮行を聞くにつけ。
映像に真実味が加わってきます。
そして、見終わるとため息が。
世界の願とは裏腹に、このウクライナの問題は、解決までまだまだ時間がかかるだろうなと。
それに、ほぼ半永久的に火種になる地域だと。
悲しいけど、現実です。
映画『ドンバス』公式サイト:https://www.sunny-film.com/donbass


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