韓国映画の勢いが止まらない
『パラサイト 半地下の家族』のアカデミー賞受賞で俄然勢いずく韓国映画界、そこから『スイング・キッズ』が公開された。
『スイング・キッズ』を見ていてまず私の頭の中に浮かんできたのは、1984年公開の日本映画『瀬戸内少年野球団』である。
原作阿久悠、主演夏目雅子(本作品が遺作となる)、また渡辺謙の映画デビュー作で、監督篠田正浩。
配給収入8億円のヒット作となり、同年の国内映画各賞を総なめにした作品です。
『スイング・キッズ』と『瀬戸内少年野球団』の共通点は、それぞれ第二次世界大戦直後を描きながらも、それぞれ暗くなりがちなモチーフをエンタテインメントに昇華した点ではないでしょか。
『スイング・キッズ』も韓国国内で、2018年の公開時9日で動員客数100万人を突破する、ヒット作となりました。
しかし、最近の日本映画においては、ヒット作と呼べるものは、アニメ以外あまりないのが現状です。
娯楽の多様化など原因はいくつもあるでしょうが、韓国映画の勢いに押されっぱなしです。
韓国の場合やはり政府を挙げてのバックアップ体制が充実している感があります。
まず、映画製作への公的資金援助、国立の韓国芸術総合学校の映像院そして韓国映画アカデミーと日本よりはるかに映画製作を取り巻く環境は充実しております。
日本映画にもかつては黄金期が
第二次世界大戦後、昭和30~40年代がやはり日本映画黄金期でしょうか。
黒澤明、小津安二郎、溝口健二、成瀬巳喜男、木下恵介等々海外の映画賞を獲得し、高い評価を受けた映画も多数輩出されました。
いまは、見る影もないというと言い過ぎですが、その当時の勢いはありません。
テレビにその座を奪われるまでは、庶民の娯楽の王様だったのですから。
しかし、その当時映画製作の中心にいたのは、民間企業でした。
大映映画、東映映画、松竹映画、東宝映画、日活映画と各社しのぎを削っておりました。
なにせ、映画会社が野球球団をもっていたのですから。(大映ホークス、東映フライアーズ)
当然、映画製作にも予算がかけられるわけで、すぐれた才能を持った新人もたくさん映画の世界に集結したものです。
しかし、悲しかな民間企業中心ですから、テレビの普及により映画が斜陽産業と呼ばれるようになり、かつての活気を失ってゆきます。
当然すぐれた優れた才能も他の分野に目を向けるようになります。
韓国国内事情とも言える、映画の題材の豊富さ
韓国社会の持つ問題や複雑さが、映画の題材となる作品が多いですよね。
いまだ、南北に分断されたままの国家。
また、韓国内における地域間の複雑な対立。
富の配分が上手くゆかず、庶民の中に渦巻く不満。
大卒でも満足な仕事が得られない現実。
近年変わりつつあるといわれるが、家長を中心とした家族の在り方、年上を尊重するのは素晴らしい教えだとも思うのですが。
経済的成功を人生の目的とする風潮、建前が強くいつしか建前が本音だと信じて疑わない個人。
一筋縄ではいかない、韓国社会が映画の題材には事欠かない様に思えてならないのですが。
日本映画界よ悲観することはない
平和の国日本では、映画の素材となるような題材が少ないのだから。
最近の日本映画の作品が、劇画的に見えてしまうのは、もはや題材が見つからないのかなと思ってしまいます。
私の中では、映画作品においては国境というものがなく、世界中でどこでも構わないから、心の震える様な作品、笑いが止まらない作品を見せて頂ければそれでOKなのです。
しかし、そんな中でもこれぞと納得させてくれる作品が日本映画に登場するのを心待ちにしているのも事実です。
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