韓国映画の鬼才キム・ギドクが描くノアの箱舟
まさに、作品はキム版ノアの箱舟とでも言ったらよいのか。
ただ、聖書にあるような箱舟に乗り合わせるのは、この作品では善人ばかりではない。
聖書には神様が、人間が神を忘れ勝手な行いに怒って洪水を起こして被造物をこの世から消してしまうのだが、神に忠実なノアとその家族と動物二匹ずつ残すのだが。
しかし、人間に入り込んだ悪はやはり絶えることことはなかった、その後の聖書の記述にあるとおりだ。
となると、箱舟に乗り込んだノアの家族の中にも悪は住んでいたということになる。
それぐらい悪というものは強力で、人間自らの手ではどうにも手に負えない。
そんな思いを新たにする作品だ。
鬼才の名をほしいままに、という事は。
つまり、出来上がった作品は、ホームランか三振のどちらかになるのだろうか。
今回の作品は、残念ながら後者。
見る人によっては違う意見もあろうが、少なくとも私はそんな気分になってしまった。
オダギリジョーなども出ていて期待したのだが。
バイオレンスを中心に持ってくるのは、いかがなものか。
確かに人間の悪をあぶりだす手法としては、バイオレンスを描くのは理解できますが。
ここまで描かれると見ていて心地良いものではない。
他にも描く方法があるのではと言いたくなってしまう。
おそらく、これが人間だ地球だと作者は言いたいのかもしれない。
あるいは、もっと違うことを訴えたいのか。
後は、鑑賞される皆様の判断になると。
2020.03.22 シネマアート新宿にて鑑賞
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