新宿K’sシネマにて開催中のホウ・シャオシェン特集、台湾ニューシネマを存分に堪能できます。意外と日本との共通点の多い事に驚きを感じつつ、1960年代を舞台にした2作品を鑑賞しました。僅かな心の揺れを映像にする力量にあらためて脱帽します。
新宿K’sシネマにて2021.4/17~6/11まで開催
1980年代から90年代にかけて起こった、それまでの商業主義的映画とは一線を画す作品群。
それら台湾ニューシネマの時代をリードした、ホウ・シャオシェン監督の作品の特集上映です。https://www.ks-cinema.com/movie/taiwan2021/
その中から、ホウ・シャウシェン監督の自伝的4部作のうち『恋恋風塵』『童年往時』の2作品を鑑賞してきました。
『恋恋風塵』
舞台は1960年代終わりごろの台湾の山村。
幼馴染の少年ワンと少女ホン
中学を卒業して台北に出て働きながら夜間高校に通うワン、一年遅れでホンも台北で働くようになります。
二人の絆と別れ。
切ない恋の物語が、描かれております。
日本でもこのころは、中学卒業とともに集団就職をする少年少女たちの姿がありました。
地方から都会に来る少年少女達をのせた就職列車がニュースになったものです。
彼らは、金の卵と呼ばれ、高度成長期の重要な労働力として重宝されたのですが。
果たしてその実態はどうだったのでしょう。
そのあたりは、日本も台湾もそう変わりないなと言う所でしょうか。
『恋恋風塵』で描かれる二人の姿が、いじらしいです。
過ぎ去った青春時代を振り返ってみてはいかがでしょうか。
『童年往時』
主人公は、1947年に広東省に生まれ、1歳の時に一家で台湾に移住した、その少年の成長記です。
ホウ・シャウシェン監督の自伝的作品でもあります。
見ていてつくづく感じるのですが。
日本的なこまやかな心使いの効いた作品とでも言いますか。
台湾がもともとそうで、台湾の人からしたら台湾的なのでしょか。
両国には共通点が、多いように感ずるのですが。
作品には過去日本が占領したからなのですが。
畳のある、日本的家屋が出てくるのもなにか親近感を覚えます。
そこで繰り広げられる主人公の少年の日常生活。
自分の少年時代と重なる部分が多いのも、そう感ずる一つの要因なのですが。
とにかく、細やかな心の動きを丹念に追ってゆく作風は、製作者の優しさや心配りと言うものを感じさせてくれます。
日本もかつてはこうだったんだよな。
どうか、あなたの子供時代と重ね合わせて見てください。
また、若い人は、スマホもインターネットもない時代の家族のあり様を垣間見てください。
台湾も現在では、大きく変わったことでしょう。
かつての、ノンビリした時代を懐かしむのもいいものです。



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