絶対的悪の前には、人間はどこまでも無力でしかない。『国葬』が明かすスターリン

映画フィルムのイメージ画像 映画館

スターリンを通してロシアを考える時、ただ恐怖心しか浮かばない。あの凍てつく大地、酒を飲む以外楽しみが無いのではとまで思えてしまう。それでいて、世界を二分するような超大国が生まれ、その頂点に立ったスターリン。その悪行を思い出すと、恐怖心しか浮かばない。

プーチンが小者に見えてしまう独裁者

ヨセフ・スターリン言わずと知れた、旧ソ連邦の独裁者。

彼が、権力者の間に4000万人のひとが亡くなったとされている、粛清であったり、飢餓であったり

ナチスドイツが、580万人のユダヤ人を虐殺したとされるその数字と比べても、スターリンの残虐さがお分かりかと思うのですが。

今現在紛争のさなかにあるウクライナでは、スターリンの支配下の時代にその拙速な集団化農業政策により、400~1000万人が命を落としたとされております

そのあたりは、映画『赤い闇 スターリンの冷たい大地で』に詳しくえがかれております。https://himabu117.com/wp-admin/post.php?post=1632&action=edit

そんな、スターリンとはいかに凄かったのか想像もできないのですが。

その悪の大きさを見事に映像化したのが、セルゲイ・ロズニツァ監督2019年製作のドキュメンタリー『国葬』

ただ延々と葬儀を映しだす。

白黒を基調としながら、時にカラーフィルムを混ぜたり。

とにかく、その葬儀に参列する、ひとひとひと

それは、スターリンの棺のある部屋に続く列、永遠に続くのではと思えるほど続く。

まるで、皆がその死を自分の目で確かめないと納得できないかのように。

そして、ソビエト各地にもその葬儀の様子に聞き入るひとひとひと。

映像は、その参列の模様を延々と映し出します。

画像を見ていると、まさにスターリンの強力な権力を感じずにはいられない

その意味では、このドキュメンタリーは、成功している。

スターリンとは、かくも巨大な権力を手中にしていたのだと

犯罪者が為政者となった悲劇

まさに、悪きわまれりの様相をていしています。

スターリンそのものは、人生の大半を刑務所で過ごし、殺人、強盗、窃盗。

犯したことのない罪はないとまで言われる人物。

そう、そんな悪の塊があの巨大な国の最高権力者になったわけで。

その後の顛末は、歴史の示す通りなのですが。

作品は、その悪の巨大さを見事に再現しております。

いや、再現といいますか、見る者にその悪行の大きさを感じさせ、想像させるのです。

見終わった後には、ただただロシアは恐ろしい国だと

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