『聖地には蜘蛛が巣を張る』なんとも直訳的題名、中身はピカイチです

映画『聖地には蜘蛛が巣を張る』ポスター 映画館

ーネタバレを含みますー

中東イスラム圏の複雑な女性蔑視『聖地には蜘蛛が巣を張る』、鬼才アリ・アッバシは、娼婦連続殺人事件を題材にイスラム圏の女性の地位、社会の問題をあぶり出した。病める心と大義とその境界の危うさを思うとき、何が正しいのか。社会の抱える病巣は深い。

イスラム圏での悲しいまでの女性の地位

この映画の主題は、これにつきると。

舞台は、イランのテヘラン。

テヘラン政府が、撮影の許可を出すはずもなく。

撮影は、ヨルダンのアンマン。

監督は、イランの鬼才アリ・アッバシ。

製作は、デンマーク・ドイツ・スウェーデン・フランス合作。

連続娼婦殺人事件の恐怖。

その数は、17人、実在の事件をヒントに作られた作品。

この作品の気味の悪さは、犯人を賛美する人のその多さに尽きる。

体を売り、薬を売りその日暮らしをする娼婦

彼女らに哀れみの言葉を投げかける人は、一人も出てこない。

いや、若者を薬漬けにする悪の元凶。

殺されて当たり前と考える風潮がある社会だということ。

そんな女を買う男たちには、避難の声すらあがらない。

そんな、唖然とする社会が実在するのだという恐ろしさ。

犯人を英雄視する人々、その犯人の息子でさえ、父を誇りに思い。

人々は、息子に父親の意思を告げとはげます。

同じ女性の犯人の妻でさえ、売春婦は人ではないと。

恐ろしいまでの女性蔑視と階級社会を目の当たりにする

同じ聖書信仰の世界。

イスラム教もユダヤ教もキリスト教も根本は同じ

旧約聖書あたりまでは、同じような道を歩むのですが。

キリスト・イエスをメシアとするあたりから別々になってゆく

大まかな分類だとこうなります。

聖書の世界は、男性から女性が作られたとあります。

このあたりから、男性優位の思想が。

こんな考えが根底にあるのですが、欧米では聖書解釈も含めて大きく様変わりしております。

ですが、イスラム圏はそうはいかない。

そう簡単に変わるわけもなく。

少しずつは、女性の主張も聞く機会はあるにはあるのですが、まだまだ。

聖地には蜘蛛が巣を張る』の描く世界は、そんな思想がはびこる社会を目の当たりに

映画『聖地には蜘蛛が巣を張る』公式サイト:https://gaga.ne.jp/seichikumo/about/

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