コロナ禍で暗い世相の中厳しい映画界で、日本映画が頑張ってます。2020年ラストに見た『アンダードッグ』も見事な作品でした。人間がよく描かれております、弱さを持った人間が自らの弱さと向きあい葛藤するところが熱い作品です、ボクシングのリングがそれを象徴しているかのようです。
映画『ロッキー』を思い出すボクシングが主役
2020年ラストに鑑賞する作品を探してたところ、ぶち当たったのがこの作品。
渋谷シネクイントで12/31に鑑賞しました。
何の予備知識もなく。
前編2時間11分、後編2時間25分ということで。
前編を見て面白かったら後編も見ようかな。
そんな気持ちで出かけたのですが。
結果、前後編合わせて4時間36分の鑑賞になりました。
結論からして、2020年の日本映画を代表する作品ですね。
ボクシングが題材として取り上げられているのですが、アメリカ映画『ロッキー』を思い出します。
『ロッキー』はシルヴェスター・スタローン監督・脚本・主演のアメリカンドリームがテーマの様な作品ですが。
『アンダードッグ』はそれとはかなり趣が違ってます。
前編見終わった後、特に後編を見たかったわけでもなく、何となく他に用事もなかったのでと言うと、失礼かもしれませんが。
結果、後編も見て正解でした。
前後編あわせて一つの作品ですね。
後編も見ることで、作品のメッセージがよりリアルに伝わってきます。
最底辺から這い上がる
それが、テーマでしょうか。
別に、経済的底辺という意味ではなく、人間としての生き方にもがいている底辺と言ったらいいのか。
人生その時の勢いだけで、上り詰めることが出来ても、一度転落すると。
そこから、もう一度這い上がることの難しさ。
別の言い方をすると、一度失った生きる目標をあらためて手に入れることの困難さとでもいいましょうか。
しかし、その目標は、勢いで手に入れたものではないので、本当の生きがい、あるいは人生の生き方につながる本物。
そんな事を感じさせる作品です。
主人公のボクサー森山未来、若きライバル北村匠海、お笑い芸人勝地涼それぞれがボクシングの試合の中で、人生を見せてくれます。
ただ、試合をするのでなく、彼らの人生そのもの人間としての力強さを見事に演じ切っています。
また、その作品としての完成度に監督武正晴の力量と才能を感じざる負えません。
熱き心をもって生きて行くこと。
作品が伝えようとしていることは、そういう事だと。
簡単な事ではないのが、4時間36分の作品で十分伝わってきます。
世の中、そんな思いだけでは生きて行けないことも十分伝わってきます。
それでもなおかつ、ボクシングの試合という、ある時はいのちを懸けた戦いというピュアな世界で、見事に作品として歌い上げております。
まさに、今年の日本映画界の珠玉の作品と言えるのではないでしょうか。
2020年何かと暗い話題ばかりの年でしたが、日本映画が頑張ってますね。
『星屑の街』、『許された子供達』、『ミッドナイトスワン』、『ばるぼら』等々。
そして、『アンダードッグ』と。
この勢いで、2021年も熱き作品を見たいものです。
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