『ぴあフィルムフェスティバル2023』国立アーカイブのおなじみのイベント、映画好きにはバイブル的便利な情報誌だった「ぴあ」いまも電子版が、ホソボソと営業しているんですが、かつての70~80年代のサブカルチャーをリードしていた面影はなくなって。
「ぴあ」というかつてあった便利な雑誌
国立アーカイブの企画。
「ぴあ」というエンタメ系の情報誌がかつてありました。
今でも電子版があるのかな。
映画、演劇、スポーツ、コンサートなどの開催情報のつまった、それはそれは便利な雑誌でした。
確か隔週発売だったと思うのですが。
お値段のわりにとにかく情報量の多い雑誌でありまして。
とくに映画系が充実。
まあ自分が一番興味のある分野でしたから。
今で言うミニシアター系の作品から、大手ロードショーの作品まで。
街の小さな公民館の上映会までもうらしており。
それはそれは、便利な雑誌でした。
はみだしぴあなる、ページの余白を使ってまで、とにかくその情報量は舌をまくほどで。
隠れた秀作の紹介などと合わせて、かなり便利な雑誌でした。
廃刊になったときは、残念で残念で。
しばらく電子版なるものもあったのですが。
やはり、ピンポイントでしか情報を得られず。
例えば、今週末なにしようかなと映画のページをめくりながら、上映予定のページに指をはさんで、スポーツイベントのページもチックしながら予定を考えるとか。
それでも、しばらくは続いていたのですが、それほどアクセスがなかったのか。
しばらくして、ひっそりと無くなってしまいました。
第45回ぴあフィルムフェスティバル2023
そんな、「ぴあ」の最も力の入っていた分野が、映画であり。
その「ぴあ」のフィルムフェスが、国立アーカイブで、今年で45回目だとか。
たいしたものだなと。
特に1970年代から1980年代にかけて映画の自主上映、自主制作の盛んな時代で。
その流れで、45回という回数を重ねているのでしょうが。
いわゆる大手の制作とはちがう。
映画小僧、映画好きが講じて自分で製作する。
スピルバーグもそうであったように。
いつ時代も夢を追い求める、そんな作品のフェスティバルなんです。
大森一樹特集
そんな自主上映世代を代表するのが、大森一樹監督。
京都府立医科大学卒の医師免許を持つ異色監督。
そんな彼が、自主上映で話題となった作品が、『暗くなるまで待てない』
今回鑑賞した作品です。
荒削りながら、評価されて、大手映画制作会社から声がかかるのですが。
それまでは、映画監督は、それぞれの映画会社に入社して、いわゆる徒弟制度とでもいいますか。
下積みの長い時代をへて、監督になるというパターンなんですが。
大森一樹は、いきなり大手から声がかかり、監督として迎えられるのです。
メジャーでは、残念ながら花が咲かなかった。
鳴り物入りで、大手映画会社に迎えられたのですが。
最初の作品『オレンジロード急行』をはじめ、興行的には惨敗。
結局泣かず飛ばずで、佳作はあるものの、その生涯を70歳にしてとじてしまうのですが。
残酷ですが、映画監督である以上その残された作品でしか評価はありません。
人生とは、そんなもんだなと。
あれはど、注目されたんだけど。
今回の回顧上映では、仲間の方たちのトークショーなどがあり、懐かしんでいたのですが。
高校生の同窓会のようで、どこか悲しい思いをいだいてしまったのですが。
しょうがないですよね、プロである以上行った仕事でのみ評価されるのですから。
「ぴあ」の廃刊とともに、自主上映という当時盛んだった映画製作の時代の終焉をあらためて感じされられた一時でした。
『第45回ぴあフィルムフェスティバル2023』国立アーカイブサイト:https://www.nfaj.go.jp/exhibition/pff202308/
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