そら恐ろしい作品
日本では、2020年2月の公開である。
つまり、コロナ騒動のドタバタで忘れられてしまった、というか割りを食らった作品です。
細々と上映はされているようですが、注目度は今一つという感じでしょうか。
家族の不幸に見舞われた、精神的に疾患を持つ大学生が主人公です。
仲間と一緒に夏休みにグループの故郷スウェーデンのとある村を訪れ、そこでの出来事が、物語の中心となります。
カルト集団が形成する日常が不気味です。
私たちのすぐ脇にもあるかもしれませんね。
狂気に墜ちてゆくことで、自己から解放され、自由を得るというなんとも恐ろしい物語です。
実に、作品の作りが丁寧で、人物もしっかり描かれております。
ですから、なおさらのこと精神疾患を持った者が、狂気に墜ちて行く様が静かでありながら迫力あります。
日常における魂の彷徨
我々の日常は、ひょんなことから自我の崩壊の危機を迎えるときがあります。
それは、本人が望むか望まざるかに関わらず。
そんな、魂の危機に陥ったとき人間はどうなるのか。
精神科や診療内科にかかることになるのでしょうか。
それでも解決できないときには。
カルト集団に身を任せることの安楽
自分で思い悩むのは、そこに自己というものがあるから。
その自己をある集団、信仰にゆだねてしまったら。
それも、カルト的で狂信的であればあるほど。
悩みから解放されたいと願えば願うほど、それは甘い蜜の味になるかも。
まして、それが狂気に墜ちてしまうところにまで行ってしまったら、まさに、自己から解放され、自由を手に入れることが。
自由を手に入れた気になるだけなのですが。
そんな思いで、狂信的になって行くもの達が後を絶たないのでは。
ラストの主人公のすがすがしい表情が不気味です。
日本にも、あなたのとなりにもあるかもしれない。
日本では、オウム真理教事件があまりにも有名ですが。
魂を売り渡してしまったもの達の末路は、押して知るべしなのですが。
カルト的集団というものは、決してなくならないですね。
いまは、あまり話題にはなりませんが、幾つか噂は聞きます。
しかし、具体名をあげるのは、危険です。
じっさい、その集団が内部で何が行われてるか、皆目わからない団体は、日本にもいくつもあり。
あなただって、私だって、そこに吸い込まれて行く危険は常にあるのですから。
自分は、大丈夫と思っている人ほどその危険は高いのではないでしょうか。
ですから、本作品はホラーとして一流の作品です。
ぜひ、劇場での鑑賞をおすすめします。
自我の崩壊による、自分からの解放、普通は耐えられないことですが、狂気に堕ちてゆくことで、何が起こるか、お確かめください。
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