映画『この世の果て、幾多の終焉』、この世の地獄とは正にこの様な事

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仏領インドシナ1945年

作品は、2018年フランス製作です。

物語は、1945年から始まる舞台はベトナム。

この時のベトナムの複雑な事情は、1954年までフランスの支配下に置かれたインドシナ半島東部(現在のベトナム、ラオス・カンボジア)にあり、当時は、日本軍も進駐しており、二重の支配を受けていたことになります。

1945年3月、現地に進駐していた日本軍がクーデターを起こし、それまで協力関係にあったフランス軍に一斉攻撃を仕掛けた。

その攻撃から一命をとりとめた、一人の兵士の物語です。

その後1946年から1954年にベトナム民主共和国の独立をめぐってフランスとの間で戦われたのがインドシナ戦争です。

戦地となったベトナムで、険しい密林でのゲリラ(ベトナム民主共和国)との戦いが描かれているのですが。

正直、見るに耐えない場面の連続です。

戦争というものの殺伐とした現実を素直に描いているのでしょうが。

なおさら、見る者の気分は晴れない。

正にこの世の地獄とはこの事

戦争とは、そういうものなのだろう、殺伐とした殺し合いが延々と続く

ベトナムの風景

戦時中という事と、戦地はおもにジャングル密林であるからなのだろう、映像からは湿地帯の持つ陰鬱なイメージが付きまとう。

また、フランス人から見たベトナム人もどこか下に見ているように思えてならない。

あくまで、西洋人からの目線から描くとこうなるのだろうか

しかし、ベトナム人が描く映像作品に見るベトナムは、緑豊かでのんびりした穏やかな世界が広がります。

やはり描く側で、見えかたが違うのだろう、いままで西洋の側からの映像に慣らされた者にとっては、どちらが本当なのだろうと考えてしまいます。

本当のところは、実際に自分で確かめてみないとなんとも言えない。

少なくとも片方だけのイメージだけでは判断できないですね。

経済発展めざましいベトナム

近年、経済的発展が著しい国ですが、ここまでの国家として民族としての苦難の道は凄まじいものがあります。

今回の作品を見るその感は深まるばかりです。

やはり、その戦時中の苦難の歴史は整理しきれてないのではないでしょうか。

長い植民地支配、その後のインドシナ戦争、そして国を二分して戦ったベトナム戦争

今回の作品でもわかるように、それは長きにわたる殺戮の歴史であり、そこに目を向けるのは、被害者でもあり国を二分した歴史といい、そう簡単に清算できるものでもない、複雑な環境があるのではないでしょうか。

平和を謳歌できる現在は、過去のむごたらしい歴史の上にあることを、改めて感じさせる作品です。

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