例年歌舞伎座公演は恒例の顔見世興行を迎える11月で話題はそちらに取られると思うのですが、なかなかどうして国立劇場11月歌舞伎公演が魅せてくれます。現役歌舞伎俳優では、東西の横綱を昼夜に持ってきて見事な演出。二世中村吉右衛門と十五世片岡仁左衛門
現在可能な限り贅沢な構成
第一部:平 家 女 護 島(へいけにょごのしま)
-俊 寛-
第二部:彦山権現誓助剣(ひこさんごんげんちかいのすけだち)
-毛谷村-
第一部の座長が二世中村吉右衛門、第二部が十五世片岡仁左衛門。
どちらも見逃せないですね。
どちらも観劇したいのですが、あえてどちらからと問われれば。
第一部の二世中村吉右衛門さんになるでしょうか。
平 家 女 護 島(へいけにょごのしま)-俊 寛-
今回は、こちらを取り上げたいとおもいます。
俊寛は康治2年 (1143年)〜治承3年(1179年)、平安時代後期の真言宗の僧侶です。
後白河法皇の側近で法勝寺の執行の地位にいたときに、平氏打倒の陰謀に加担したことが露見し、鬼界ヶ島(薩摩国)への流刑に処せられます。
そのあたりの顛末は、「源平盛衰記」や『平家物語』に詳しく出てくるのですが。
もちろん原文ですので、読解には苦労すると思いますが。
両方の文学作品から伝わってくるのは「この世の無常」というテーマでありまして。
そのあたりを演者はどう表現するかが問われるわけです。
二世中村吉右衛門が俊寛をどう演ずるか
舞台の物語は、鬼界ヶ島に流刑に処せられた俊寛のもとに、平氏から特赦が下り赦免されるという段になって、俊寛はその特赦を若いカップルに譲り自分は島に残るという物語です。
実際には、首謀者である俊寛には特赦はおりず、その後俊寛は絶望から悲嘆に暮れ、自ら食をたち自害するのですが。
お芝居では、赦免になったカップルを見送る場面で終わりとなります。

二世中村吉右衛門は、当たり役として何度もこの役をこなしていますが。
果たして、今回はどう演じるでしょうか。
元々能の舞台作品として世阿弥が完成させたものを近松門左衛門が、歌舞伎上演台本に作り変えたもの。
ですから、能の世界の持つ、「平家物語」の流れから諸行無常の響きありの世界で演ずるのか。
俊寛の望郷の念と孤独感を際立たせる舞台にするのか。
二世中村吉右衛門さんの役作りに興味がわきます。
芸の完成期に差し掛かったお二人
今回の、国立劇場歌舞伎公演11月の座長お二人、二世中村吉右衛門さん十五世片岡仁左衛門さん共々、歌舞伎役者としての芸の完成期に入っておられます。
一人の歌舞伎役者さんを若い時から拝見して、役者として円熟味をます姿を拝見できることはとても幸せなことです。
お二人とも若いときから苦労と精進をされてきたことと考えあわせますと。
今月の舞台で、お二人の役を同時に拝見できることはまたとない機会です。
ぜひ、お見逃しのなきよう。
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