1990年代の作品を振り返る、国立アーカイブス企画上映。今回は、まずは言わずと知れた日本ホラーの傑作『リング』。この作品をみるのは、初めてだったのですが、噂にたがわずお話の薄気味悪さは天下一品でした。5月まで続く企画ですから、90年代へ。
躍動する個の時代
こう銘打った今回の企画。
個人の感覚を大事にした作品群という企画。
1990年代と言えば、バブル経済が弾けた後の時代。
祭りの後の虚脱感と余韻と。
まだ、日本経済が本格的に下降線をたどる前の時代でしょうか。
バブルと言う全体的な空気が弾けた後。
それぞれが、自分と言うものに目が行った、そういう時代なのでしょうか。
今回の企画作品を通して、今一度1990年代を振り返ってみるのもいいですね。
今回は、第一部2/1~3/6。
第二部4/5~5/1。
と二回に分けて66作品が上映されます。
お近くのかたは、是非お出かけください。
国立映画アーカイブス公式サイト:https://www.nfaj.go.jp/exhibition/japanese1990s202201/
日本ホラー映画の金字塔『リング』
今回の企画から、初めて鑑賞に出かけました。
これだけのヒット作なんですが、作品を見るのは、初めて。
新鮮でした。
「きっとくる~きっとくる~」のエンディングに流れる挿入歌が、印象的ですね。
1998年作ですから、今回の企画の最後の方でしょうか。
10億円の大ヒットになりましたね。
「ビデオに殺されるなんて」というキャッチコピーも1990年代らしい。
現在では、ビデオはほとんどお目にかからないですから。
となると、現代では、このお話は成立しにくいという事になるのですが。
まあ、人間の怨念とか呪という普遍のテーマを当時のビデオカルチャーに上手く組み込んだ、作家鈴木光司のナイスプレイですね。
映画『リング』は実に気味悪い作品。
これが、私の感想。
リングの主人公貞子の怨念には、元ネタと言うものが存在しているのも不気味。
明治42年にあった千里眼事件、心理学者による超能力実験なのですが。
こういったことを信じる信じない、科学的根拠がないと言ってしまえば、それまでですが。
日本全国には、こういった霊媒や予知能力などなど土着な風習が未だ色濃く残っているのも事実です。
いや、世界的にも色々な地域で形を変えて行われるのではないのでしょうか。
降霊会など、死者にお伺いを立てるなどは、よい例ではないでしょうか。
となると、あながち『リング』で描かれていることは、ないとは言えないと思えるのですが。
貞子が生まれたのも、伊豆大島と言う設定も効いています。
絶海の島、周りと隔絶された社会、そこで行われる土着の霊媒行為。
そんなイメージを上手く作品は使っています。
信じる、信じないは個々の自由ですが、不気味な作品であることは、間違いのないことではないでしょうか。
コメント